公募研究
本年度は、神経幹細胞がニューロンに運命決定してから4日間の初期分化過程にて、どういったクロマチン構造変化が起きるかを、scATAC-seqを用いて解析した。その結果、数時間の単位でクロマチン構造が次々に変化すること、またその変化に相関して活性を変化させる転写因子が多数存在することが明らかとなった。個々の転写因子に注目して、転写因子自身の発現タイミングと活性化するタイミングを解析してみると、1. 発現と活性化のタイミングが相関する転写因子、2. 発現と活性化のタイミングが逆相関する転写因子、3. 発現が活性化より少し早い転写因子、が存在することがわかった。現在のところ、1は遺伝子発現をまさにそのタイミングで制御する転写因子、2は遺伝子発現を抑制する転写因子、3はクロマチン構造を前もって転換する因子である可能性を考えている。
1: 当初の計画以上に進展している
ニューロン分化の初期過程では、細胞の状態が数時間単位で大きく変化するが、その変化の基盤にある遺伝子発現制御メカニズムはほとんどわかっていない。本年度の研究では、この初期過程でクロマチン構造がどのように変化するか、そしてそれを制御する可能性のある転写因子群を明らかにすることができた。
今後は、同定した転写因子群のノックアウトや過剰発現を実施することで、それらが本当にニューロン分化初期過程のクロマチン構造変化に重要なのか、そしてニューロン分化の進行に重要なのかを明らかにする。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 118 ページ: e2022343118
10.1073/pnas.2022343118
Drug Discoveries & Therapeutics
巻: 15 ページ: 55-65
10.5582/ddt.2021.01017, 2021
BioEssays
巻: 43 ページ: e2100155
10.1002/bies.202100155, 2021
STAR protocol
巻: 2 ページ: 100540
10.1016/j.xpro.2021.100540
Nature Communications
巻: 12 ページ: 3773
10.1038/s41467-021-23987-z
PLoS One
巻: 16 ページ: e0259846
10.1371/journal.pone.0259846