研究領域 | 遺伝子制御の基盤となるクロマチンポテンシャル |
研究課題/領域番号 |
21H00251
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 佑佳子 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50646768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クロマチン制御 / ヒストンメチル基転移酵素(HMT) / ショウジョウバエ近縁種 / 栄養 / 個体成長 / オス生殖機能 |
研究実績の概要 |
ヒトを含めた動物において、クロマチン制御が環境への適応にどれだけ、そしてどのように寄与しているかは不明である。本研究では、キイロショウジョウバエ(野生型および変異体)とその近縁種を用いて、ヒストン修飾が栄養環境への適応、特に個体成長とオスの生殖機能に果たす役割を解析する。そして、進化の過程で生物が獲得してきたクロマチンレベルでの環境適応機構の解明を目指す。 申請者はこれまでに、ショウジョウバエ近縁種群の栄養への生体応答の比較解析から、食性の幅が広い種(広食性種)のほうが、狭い近縁種(狭食性種)より栄養バランス変化への適応能力が高いことを見出した。そして、キイロショウジョウバエなどの広食性種では、摂取した炭水化物の比率に応じて代謝酵素遺伝子群の発現調節を行い、代謝恒常性を維持するのに対して、この機構はセイシェルショウジョウバエなどの狭食性種では機能しておらず、高炭水化物食では成長できないことを明らかにした(Watanabe et al., Cell Reports, 2019)。本研究では、H3K9ヒストンメチル基転移酵素 (H3K9 HMT)による体細胞や生殖細胞におけるクロマチン制御が、栄養依存的な遺伝子発現調節に果たす役割とその適応的意義の解明を目指す。 当該年度は、体細胞におけるHMTを介したクロマチン制御機構を解析するため、広食性種キイロショウジョウバエの野生型と変異体、狭食性種セイシェルショウジョウバエの野生型全身を用いて、複数の食餌条件下でのH3K9me3修飾パターンをCUT&RUN法を用いて比較した。また、オス生殖細胞におけるクロマチン制御の関係についても、次世代数の解析や、生殖幹細胞数の解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CUT&RUNのデータ解析を進めることで、狭食性種キイロショウジョウバエの変異体と狭食性種セイシェルショウジョウバエとの類似点を明らかにすることができつつある。また、オス生殖機能の解析でも、精巣特異的な遺伝子発現制御機構が生殖能力に機能していることを示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
広食性種のヒストンメチル化を介したクロマチン制御が、栄養環境への適応にどのように機能しているのかを明らかにするために、CUT&RUN を含めたオミクスデータの統合解析をさらに進める。加えて、HMT が機能しない場合に、個体にどのような異常が生じているかの解析を行う。また、オス生殖機能については、精巣特異的なマルチオミクス解析を行うことで、精巣特異的な遺伝子発現制御機構が、生殖細胞の質や量にどのような役割を担っているのかを明らかにする。
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