公募研究
細胞核内には、相分離により形成される非膜性構造体が多数存在している。そのほとんどのものには、RNAが構成因子として含まれているが、その構造体の形成および機能における役割は十分には理解されていない。本研究は、RNAが誘導する核内非膜オルガネラに焦点を当て、その遺伝子発現・クロマチン制 御における機能発現メカニズムを理解することを目的としている。NEAT1_2 lncRNAが構築する核内非膜性構造体であるパラスペックルをモデル系として扱うとともに、申請者が新たに構築した人工非膜性構造体実験系を利用し、RNAによる核内相分離に共通する機能発現機能を明らかにする。さらに、ソフトマター物理学の理論解析も取り入れ、RNA誘導性相分離の形成とクロマチン・遺伝子発現制御機能を包括的に理解するための原理および分子基盤を明らかにする。これまでに、実験による解析とソフトマター物理理論を融合した研究により、パラスペックルがブロック共重合体のミセル化という細胞内相分離の原理として、多くの研究がなされている液液相分離とは異なる機構により形成されていることを明らかにした。さらに、パラスペックルのミセル化に関わるタンパク質因子の同定も進んでいる。こうした解析から、RNA-タンパク質複合体がブロック共重合体として働くという普遍的なメカニズムを明らかにしてきている。また、人工非膜性構造体を用いた解析から、パラスペックルや様々な細胞内構造体の構成因子としても同定されている、DBHSファミリータンパク質やFETファミリータンパク質が形成する構造体の形成メカニズムを明らかにした。さらに、パラスペックルによる遺伝子発現制御について、p53経路における役割についても解析を進め、パラスペックルによる遺伝子発現制御を理解するために重要な知見を得た。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Molecular Biosciences
巻: 9 ページ: 925058
10.3389/fmolb.2022.925058
巻: 9 ページ: 974772
10.3389/fmolb.2022.974772
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http://hirose-lab.com/
https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/ja/research_group/detail/7