最終年度の2022年度においては、SPOPとCBF1を繋ぐbivalent DNAアプタマーによるSPOPとCBF1の近接活性を高める条件について検討した。合成したbivalent DNAアプタマーはSPOPまたは、CBF1の片方のタンパク質とは強力な結合シグナルを示したが、三者複合体の形成を示す強い結合シグナルは見られなかった。そこで、SPOPのリコンビナントタンパク質を合成し、先にSPOPとbivalent DNAアプタマーとを混合しておき、その後、当該複合体とCBF1との結合活性を評価した。その結果、SPOPと混合したことにより結合シグナルが著しく阻害された。以上より、立体障害が発生したことにより、今回合成したbivalent DNAアプタマーにはSPOPとCBF1を顕著に近接させる活性は存在しないことが示唆された。 そこで、SPOPアプタマーまたは、CBF1アプタマーに直接K48ユビキチンテトラマーを共有結合させたユビキチンアプタマーを有機化学的に合成し、細胞内に膜透過ペプチドを用いて導入し、SPOPまたは、CBF1のタンパク質レベルを検証した。その結果、SPOPアプタマー処理により、SPOPのバンドパターンに変化が見られた。今後は細胞内送達方法をさらに検討し、SPOPやCBF1を強制的に分解できるユビキチン化アプタマーの創生を目指す。
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