研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
21H00317
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大脇 大 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40551908)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋特性 / 個体差 / 階層ベイズモデル / 介入実験システム |
研究実績の概要 |
目的達成のため,以下の手順で研究を進める.Step1(筋モデル):実験データから,電気刺激-筋出力特性の個体差を含む階層ベイズモデル化 .Step2(身体モデル):筋モデルと無負荷運動データから,順運動学により昆虫の身体の力学的特性を推定する.Step3(歩行モデル):歩行 中の筋刺激による脚間協調変容データから歩行制御機序を抽出する.
[令和3(2021)年度] 1. 電気刺激-筋出力特性のモデル化: ナナフシの3種の筋(protractor, retractor, levator)への電気刺激入力と発生する関節トルクデータに対して,階層ベイズモデルを用いることで,個体差を含む電気刺激-筋出力特性のモデル化を行った.その結果,筋特性に関して,個体間共通の横断的特性を示すパラメータと,個体差を表現するパラメータに分類可能であることを見出した.さらに,個体共通のパラメータは印加電圧などの外部パラメータに対しても変化しない筋特性を表現していることを明らかにした. 2. 歩行中の筋刺激介入システムの構築: 電気刺激による昆虫の歩行運動への介入実験を実施するための実験システムの構築を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個体差を含む筋モデルを構築することに成功した. 得られた結果は,R4年度で検証する身体モデル,歩行モデルの構築においても重要な運動生成モデルの基礎となる.
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今後の研究の推進方策 |
順運動学に基づく昆虫の身体力学特性の推定: 筋モデルに基づき生成される関節トルクよる順運動学計算により関節軌道を推定する.計測データを再現するようにパラメータを最適化することで身体特性を同定する.具体的には,関節粘弾性特性を同定することで,昆虫の身体をモデル化する. 歩行中の脚運動制御に基づく位相応答解析による歩行リズム調整機序のモデル化:歩行介入システムを用い,歩行中に筋を電気刺激し歩行運動に介入した際の,脚運動の変化を定量化する.得られたデータに対して,位相応答解析を行うことで,介入脚における歩行リズム調整機序をモデル化する.具体的には,脚の運動位相を,計測した歩行周期に基づく位相振動子でモデル化し,位相応答関数を推定する.立脚相(Stance phase)と遊脚相(Swing phase)における位相応答特性を解析することで,脚に存在する感覚器からの感覚情報がリズム調整に与える効果を明らかにする. 脚間の運動位相解析に基づく脚間協調制御モデルの抽出:計測データから,筋刺激当該脚だけでなく,隣接する脚が歩行リズム調整にもたらす効果,すなわち,脚間協調制御機序の解明を試みる.具体的には,反対側脚の運動位相との位相結合関数,前後脚の運動位相との位相結合関数を推定することで,脚間協調制御モデルを構築する.
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