将来の自動運転車における超高速車載光通信適用を目指して、ゲル材料を用いたフレキシブル自己形成光接続の研究を行なった。2021年度は、1 Gbit/sの高速車載光通信用として期待されているコア径980 μmのプラスチック光ファイバを用いて、自動接続とそのフレキシビリティ確認を行なってきた。最終年度は、得られた樹脂組成物を、10 Gbit/s以上の超高速車載光通信用として期待されているコア径50 μmのガラス光ファイバを用いた自己形成自動光接続を実施した。コアサイズが面積比で1/400となるため、ファイバコア端面との接触断面積が減少するが、2本のファイバに機械的変位を与えても光接続が維持されており、自己形成光導波路コアはフレキシビリティを有していることが明らかとなった。一方で車載振動等による環境での密着性に関しては、断面積サイズが小さいために補強する必要がある。そこで、クラッドにもゲル材料を配置し、コアを覆う形でコア/クラッド全固体フレキシブル自己形成光導波路作製を行なった。フレキシビリティを実現するために、2種類のモノマーを用いていたが、その混合比を変化させることで、屈折率も調整が可能となり、コア材料とクラッド材料共々異なる屈折率を持ちながらもフレキシビリティと密着性を有する全固体自己形成光接続を実現できた。接続損失は空隙約3 dBに対して、コアを自己形成光接続した場合において1.2 dBとなり、損失が大幅に減少した。またファイバ間に機械的変位を与えても、光接続を維持しており損失低減に寄与した。 将来の車載適用のためには、様々な信頼性試験が必要となるが、特に振動試験によるフレキシビリティと密着性の確認が必要となってくる。
|