公募研究
人類は、約5~10万年前にアフリカ大陸を出て世界各地に広がった。胃癌の原因と考えられるピロリ菌は、人類の出アフリカ前にヒトの胃への感染を確立し、人類と共に旅をしてきた。我々はピロリ菌ゲノムを解析することで、人類集団の移動、特にアジアから日本列島(ヤポネシア)への移動を追っている。本研究では、世界最大規模のピロリ菌コレクションを生かして、次世代シーケンサーを用いてピロリ菌の全ゲノム解析を行うとともに、ヒト側のDNAもヤポネシアゲノム研究者の協力を得て調査することで、ヤポネシアの人類史を明らかにしていく計画とした。コロナ禍の影響もあり、新しい検体を入手することができず、当初は、保存されてあるピロリ菌遺伝子の解析を進めた。2022年には、次世代シーケンスにより、国内において、沖縄やアイヌ人のピロリ菌にそれぞれ特有のピロリ菌が存在し、沖縄の一部のピロリ菌はその起源が中央アジアにあることをiScience誌に発表することができた。その後も検討を重ね、本土(本州や九州)のピロリ菌も、胃癌の多い北部(青森)と胃癌の比較的少ない(大分)のピロリ菌には違いがあることが分かり、前向き研究を行うこととした。本年度は、鹿児島県、宮古島、さらに大分県北部で、ピロリ菌とヒト側のDNAを得ることができ、ピロリ菌においては、明らかに北部(青森)と南部(九州)では遺伝子が異なり、胃癌に関連する可能性のあるSNPs候補を得ることができた。また、従来、沖縄のピロリ菌の7割程度は、本土のピロリ菌と同一と思われていたが(iScience 2022年でも区別不可能)、沖縄に見られる本土に近いピロリ菌も、明らかに異なる系統を示すことも分かった。現在、ヒト側の検討を別予算で進めているところである。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (32件) (うち国際共著 30件、 査読あり 32件、 オープンアクセス 21件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 13件、 招待講演 7件) 備考 (1件)
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