研究領域 | ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明 |
研究課題/領域番号 |
21H00347
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
木村 亮介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00453712)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲノム / 言語 / 琉球列島 / 集団遺伝学 / 伝播 |
研究実績の概要 |
1. 言語データの解析: 琉球諸語の言語データ(72語彙97地点)について、各地点における1)語彙の有無、2)音韻の違いに着目して解析を進めた。琉球諸語は、一般的に北琉球(奄美・沖縄)と南琉球(宮古・八重山)に大別され、さらに前者は、奄美諸島方言、沖縄本島北部方言、沖縄本島南部方言、後者は、宮古諸島方言、八重山諸島方言、与那国島方言に区分される。語彙の有無および音韻の違いに基づいた系統ネットワーク解析やADMIXTURE解析の結果は、このような地理的区分をよく反映するものとなった。与那国方言の分類的位置についてはこれまでに様々な議論があるが、系統ネットワーク解析の結果は、少なくとも、与那国方言を八重山方言のひとつとして分類することが妥当ではないことを示していた。 2. ゲノムデータの解析: 沖縄本島、久米島、宮古諸島、八重山諸島の出身者および久米島在住の硫黄鳥島出身者(祖父母4名が同一地域出身)について全ゲノム解析を行い、本土出身者および中国人(漢)の全ゲノムデータとあわせて主成分分析をおこなった結果、八重山諸島集団のクラスターは他の琉球列島集団のクラスターと比べ、本州集団のクラスター寄りに位置することが示された。D統計量に基づいて検定(ABBA-BABAテスト)を行うと、八重山諸島集団は他の琉球列島集団と比べ有意に本州集団からの遺伝子流入を受けていることが示唆された。今回、地理的に最も離れている八重山諸島において、本土日本集団との遺伝的近縁性が確認されたことは興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べた通り、言語データにおいては宮古諸島と八重山諸島は近接してクラスターを形成しているのに対し、ゲノムデータにおいては他の琉球の地域と比較したとき、宮古諸島と八重山諸島の間に近縁性がみられないという結果が得られた。また、八重山諸島のゲノムデータの中には与那国島の個体も含まれているが、八重山諸島のクラスターの中に納まっていた。このような言語データとゲノムデータの結果の違いは、ヒトの移動と言語の伝播の違いを表しており、言語の伝播様式を考える上で新たな視座を与えるものである。今後、文化的・社会的・政治的観点から言語の伝播様式を考えていく必要がある。また、奄美諸島などの地域を広げてデータを解析する必要がある。
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