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2021 年度 実績報告書

南海道諸方言の歴史言語学的研究と方言形成時期の推定

公募研究

研究領域ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明
研究課題/領域番号 21H00354
研究機関信州大学

研究代表者

中澤 光平  信州大学, 学術研究院人文科学系, 講師 (90824805)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード南海道 / 淡路方言 / 日本書紀 / アクセント / 万葉仮名 / 音変化 / 歴史言語学
研究実績の概要

今年度、本課題は以下の1~4の研究を行った。
1. 現地調査。新型コロナウイルスの感染状況がある程度収まった2021年10月から現地調査を開始し、高知県南国市で話者への対面での聞き取り調査を行った。他の地点でも調査を予定していたが、年末からのオミクロン株の流行により再び調査が困難な状況となってしまったため、今年度のこれ以上の調査は断念することとなった。
2. 資料の電子データ化作業。アクセントが記された方言辞典などの文献資料および過去に南海道地域で行った方言調査のデータの電子化作業を行った。電子化した文献資料の例として、田中萬兵衞(1934年)『淡路方言研究』(「語彙篇」の部分)は戦前の資料でありながらアクセントが記されており、現在の淡路方言のデータと比較することで近代~現代の変化を追うことができる。他に阿波方言のアクセント資料も同様に電子データ化を進めた。
3. 研究発表。単独あるいは共同で、南海道地域を含む日琉諸語(日本語と琉球諸語)に関する3件の研究発表を行った。現代語だけでなく、『日本書紀』のうちα群と呼ばれる部分の万葉仮名を対象に上代日本語(8世紀頃の日本語)のアクセントや母音長について検討し、現代淡路方言との比較を通じて上代日本語の音声特徴の一部を明らかにした。
4. 論文・報告。単独あるいは共同で、南海道地域を含む日琉諸語に関する4本の論文・報告資料を公表した。単独では、淡路方言に見られるトシヨリ>トッショリ「年寄り」のような促音(ッ)、撥音(ン)、長音(ー)を生じる音変化について、共時的・通時的観点から分析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの影響で本研究の中核となる現地調査が十分に行えなかったため。事前に計画していた通り、調査ができなかった代わりに文献の電子化作業や既調査の資料等を用いた研究による発表および論文化を進めることはできたが、本研究の中心課題、すなわちアクセントに基づく南海道諸方言の成立時期を探る取り組み自体は先送りせざるを得ない状況となった。
以上より、総合的な進捗状況は「やや遅れている」と判断する。

今後の研究の推進方策

現地調査については、調査依頼を早めに行い、来年度調査を本格化させる予定である。
来年度は、次の3つを軸に研究を進める。
1. 英語論文による成果発信。2. アクセント資料のデータベース化と資料公開。3. アクセントデータベースに基づく学会、論文発表。
ただし、調査については必ずしも状況がこれから好転するとは限らない。通常の旅行の制限がなくなったとしても、本研究のように高齢者を対象とする調査の実施については慎重に判断しなければならない。そのため、予定通り調査ができなかった場合の研究の推進方策についても検討しておく必要がある。現時点では、調査の代わりに公刊されているアクセント資料(アクセント情報付き方言辞典、方言アクセント辞典)を活用することを考えている。ただし、方言辞典のアクセント表記は資料によってまちまちで不統一であることから、比較研究を行う上でどのように処理するかを考える必要がある。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 淡路方言の音節融合の共時的・通時的分析2021

    • 著者名/発表者名
      中澤 光平
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集 = Tokyo University linguistic papers (TULIP)

      巻: 43 ページ: 159~182

    • DOI

      10.15083/0002002771

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 南海道諸方言の系統関係試論2022

    • 著者名/発表者名
      中澤 光平
    • 学会等名
      第3回ヤポネシアゲノムくにうみミーティング
  • [学会発表] Crop terms in Japonic2022

    • 著者名/発表者名
      Kohei NAKAZAWA, Akiko YOKOYAMA
    • 学会等名
      Studies in Asian and African Geolinguistics The 4th meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本書紀α群における去声字の分布に基づく上代日本語のプロソディーの検討2021

    • 著者名/発表者名
      中澤 光平
    • 学会等名
      日本語学会2021年度春季大会
  • [学会発表] 疑問・不定表現における韻律的現象の通時的考察2021

    • 著者名/発表者名
      中澤 光平
    • 学会等名
      日本言語学会第163回大会
  • [学会発表] Animal vocabulary in Japonic2021

    • 著者名/発表者名
      Kohei NAKAZAWA, Akiko YOKOYAMA
    • 学会等名
      Studies in Asian and African Geolinguistics The 3rd meeting
    • 国際学会
  • [図書] Studies in Asian and African Geolinguistics I2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki SUZUKI, Mitsuaki ENDO
    • 総ページ数
      124
    • 出版者
      Research Institute for Language and Cultures of Asia and Africa
    • ISBN
      978-4-86337-356-3
  • [図書] Studies in Asian and African Geolinguistics II2021

    • 著者名/発表者名
      Satoko SHIRAI, Mitsuaki ENDO
    • 総ページ数
      69
    • 出版者
      Research Institute for Language and Cultures of Asia and Africa
    • ISBN
      978-4-86337-364-8

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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