公募研究
胎生期のマウス大脳の発生過程を支えるメカニカルなメカニズムを中空果実と比較しつつ理解すべく計画された研究である.まだ骨が頭部背側に形成されていない時期にあって,その背側方向に向けてドーム状に成長する大脳原基の壁が,周りの結合組織(表皮と間充織=頭皮と総称)との間で,結合組織から脳に対する押しとどめ,脳から頭皮に対する押し・伸ばし,という力学的関係にあるということを前年度に報告したことを受け,脳原基壁のさらに奥にある,脳脊髄液をたたえた脳室が頭皮による締め付けによってどういう影響を受けているか,手製マノメータによる圧計測と頭皮に対する外科的および薬理学的操作を組み合わせて検討した.脳脊髄液の量や脳壁体積の貢献以上に脳室内圧の成立に「頭皮による締め付け」が大きく貢献していることが分かった.そして脳室・脳室内圧には,それ自体が積極的に脳壁ドームを「膨らませる」という,肺の発生過程で想定されているような「圧の内外差(内>外)による構造拡張の働きではなく,頭皮からの締め付けのもとにある脳壁を受け止める「カウンターバランサー」としての役目があると分かった.そうして締め付ける頭皮と内で受け止める脳室に挟まれる脳壁は,神経前駆細胞の分裂によって産生されたニューロンを壁の外層に圧縮的に充満させ,先行して誕生したニューロンが伸長させる軸索(脳壁の周方向に沿う)と神経前駆細胞のファイバー(脳壁の法線方向に沿う)という2種類の相互直行関係にあるファイバー構造に張力を加えることで強度が確保される構造になっていることも分かった.加えて,壁の内面・頂端面が連続性・収縮性を有することが,壁の肥厚(ニューロン充填を通じた)を助けていることも明らかとなった.脳室の「カウンターバランシング」は,脳壁が,そうした収縮性を有する脳壁内面を脳室を狭めるようせり出させながら肥厚するということに対する許容性も帯びている.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件)
iSciience
巻: 26 ページ: 106090
10.1016/ j.isci.2023.106090
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巻: 42 ページ: 112092
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巻: 25 ページ: 105629
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10.1523/JNEUROSCI.0396-22.2022
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巻: 13 ページ: 601
10.1038/s41419-022-05001-6