研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
21H00380
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 武司 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20719447)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クライオ電子顕微鏡 / リボソーム / 合成生物学 |
研究実績の概要 |
核酸にコードされた遺伝情報をアミノ酸の配列へと変換する「翻訳システム」は、巨大なRNA-タンパク質複合体であるリボソームを「発動分子」とし、GTPの加水分解をエネルギーとして利用する翻訳因子が協調的に働くことで成り立っている。本研究課題では、タンパク合成を司る分子機械であるリボソームや相互作用するリボスイッチなどのRNA分子に着目し、クライオ電顕で「形を見ながら」「合理的設計」し、翻訳マシナリーを自在に制御し高度化することを目的とする。申請者が専門とするクライオ電子顕微鏡法は、生体試料を「そのまま」急速凍結することでガラス状の氷に閉じ込め、透過型電子顕微鏡を用いて観察する手法である。取得された生体高分子複合体の粒子像は、画像処理によって、構造の違いにより分類し、高分解能で3次元立体構造を得ることが出来る。本研究課題では、まず無細胞翻訳系を用いて、既存のRNAスイッチによる翻訳制御を機能解析する。さらに、試料溶液をそのまま凍結することで、発動分子が機能する様子を察し、翻訳制御の様子をさまざまな関連因子が共存する環境下で可視化する。本年度は、大腸菌内で変異リボソームの活性を測定するための直交翻訳系の確立、変異リボソームの構造解析をクライオ電子顕微鏡でおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、人工的に制御されたリボソームの活性を測定するための直交翻訳系の確立に成功した。レポーターとしてGFPを用いて、そのSD配列を改変することで、改変したリボソームの翻訳活性を測定できるようにした。また、リボソームに変異を導入し、クライオ電子顕微鏡を用いて単粒子解析を行うことで、変異領域を高分解能で可視化することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、多くの変異体の作成を行い、実際に翻訳を制御することが可能な変異体の作成、また構造解析をもとにした高機能化を行う予定である。
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