研究実績の概要 |
溶液理論に基づいてアミノ酸置換に基づく生体発動分子の運動制御理論を構築する事を目指し、以下の研究を行った。(1)Bacillus PS3 F1-ATPaseのクライオ電子顕微鏡構造(M. Sobti, H. Ueno, H. Noji, and A.G. Stewart, Nat. Commun., 12, 4690 (2021).)を溶媒のエントロピーの観点から解析し、44°の回転に伴う水のエントロピー変化がほぼ0であることを明らかにした。さらにこの成果を元に、回転に伴う系の自由エネルギー変化もほぼ0であり、内部散逸が生じないことを議論した。この結果は鳥谷部らの実験結果(S. Toyabe, T. Okamoto, T. Watanabe-Nakayama, H. Taketani, S. Kudo, E. Muneyuki, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 108 (2011) 17951.)とコンシステントである。この成果は現在論文投稿中である。(2)領域内共同研究を行い、フェリチンのアミノ酸置換に伴う熱安定性変化の実験結果について、水のエントロピーの観点から解釈を与えた。この成果も現在論文投稿中である。(3)タンパク質の水和を高速かつ正確に予測する深層学習モデル「gr Predictor」の論文を出版した(K. Kawama, Y. Fukushima, M. Ikeguchi, M. Ohta, and T. Yoshidome, J. Chem. Inf. Model. 2022, 62, 4460)。(4)単純流体を用いて、分子性流体用積分方程式理論で得られた水和エントロピーを定量的に再現する手法について、論文を出版した(T. Yoshidome, J. Phys. Soc. Jpn., 2022, 91, 094802)。(5)アミノ酸配列のみからタンパク質のドメインを予測する深層学習モデルの開発研究を行った。
|