本研究課題は「発動分子ベアリングの展開:発動機構多様化と集合体機能」と題し,申請者らが研究を進めてきた「分子ベアリング」を発動分子の観点に基づいて機能化することを目的とする.前回の公募研究「機械力により駆動する発動分子ベアリング」の成果のさらなる発展を図るものである.前回の公募研究では,[1]発動分子ベアリングの構築,[2]共有結合開裂による分子ベアリング構築,[3]発動分子としての物性と機能開拓,という三項目を検討した.今回はこれらを引き続き進めるとともに,[4]発動分子ベアリングの構造と発動機構の多様化と[5]集合体機能の開発を進める計画であった.今年度は主に項目3と項目4に関して検討を行った.主要な成果として,ハロゲン置換基をもつボウル状ゲスト分子を用いた新たな分子ベアリングを開発し,会合挙動を解明した.段階的な会合について詳細な解析を行い,会合が正の協働性を示すことを明らかにした.この成果はChemistry An Asian Journal誌に報告した.また,関連する成果として,キラルにねじれた芳香族ベルト分子の合成と性質に関する成果をJournal of the American Chemical Society誌に,キラルな筒状分子の動的挙動と光物性の関係に関する論文をAngewandte Chemie International Edition誌とTetrahedron Letters誌に報告した.
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