公募研究
本研究では、ナノ空間を有する多孔性材料を利用し、筋肉の応答メカニズムを模倣した新しい発動分子システム・力学応答材料の実現に向けて研究を行った。具体的には、多孔性金属錯体(Metal-Organic Framework: MOF)の細孔内への高分子鎖の吸着現象を利用し、MOFと高分子を分子レベルで複合化させ、吸着エネルギーを力学エネルギーへ変換する材料の合成に取り組んだ。本研究を通して、これまで下記の優れた研究成果を得ることができた。1.これまで解明されていなかった高分子のMOFへの吸着メカニズムの熱力学的な理解が得られた。2.高分子鎖をMOFのナノ細孔へ包接させ、更には貫通させることで、全く新しい構造を有する新規MOF/高分子複合体の合成に成功した。3.本研究で得たMOF/高分子複合体の力学物性および熱物性を測定し、その特異な構造に由来した物性の出現を確認した。本年度に実施した研究は、主に2および3の成果に結びついている。前年度までの研究においてMOFへの高分子吸着現象とそのメカニズムが明らかになったことにより、様々な新しい応用成果につながった。高分子鎖がMOF粒子を貫通した新規複合体を得ることに成功し、本研究の目的である力学応答材料の合成に成功した。得られた材料は特有の貫通構造に由来した熱物性および力学特性を示し、エネルギー変換材料としてのポテンシャルを示すことができた。本研究結果は現在論文投稿中である。また、MOF結晶へ高分子を導入することでMOFの圧力耐性が大きく改善される興味深い現象も発見し、一般に脆弱な結晶で取り扱いが難しいMOFの強度を向上させる新しい技術の開発に成功した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Separation and Purification Technology
巻: 310 ページ: 123115~123115
10.1016/j.seppur.2023.123115
Chemical Communications
巻: 59 ページ: 1293~1296
10.1039/D2CC06330A
Macromolecules
巻: 56 ページ: 3141~3148
10.1021/acs.macromol.3c00275
Dalton Transactions
巻: 51 ページ: 13204~13209
10.1039/D2DT01425D
https://www.nhosono.com/home