研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
21H00399
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮崎 牧人 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40609236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞運動 / アクトミオシン / 人工細胞 / リポソーム / 分子モーター / アクティブマター |
研究実績の概要 |
本研究は、生体発動分子の代表格であるアクトミオシンが生み出す収縮力が、如何にしてダイナミックな細胞の変形を引き起こし、運動機能を創出するのか、その設計原理を構成論的アプローチとアクティブマター物理学の枠組みで解明することを目標としている。 細胞運動が生じるとき、細胞内の細胞骨格構造や力分布、細胞の形状など、様々な物理パラメータの対称性が破れる。第1期の公募研究では、細胞内構造の対称性が破れる仕組みと、細胞膜表層の力分布の対称性が破れて並進運動が生じる仕組みについて、アクトミオシンを封入した油中液滴を用いて研究を進めてきた。第2期の公募研究では、細胞形状の対称性が自発的に破れ、運動機能が創出される仕組みについて焦点を絞る。第2期の初年度は、精製したアクトミオシンを細胞サイズのリポソームに効率的に封入する技術を確立し、膜直下に自己組織化させたコルテックス様の網目構造の収縮に伴い、膜が変形する様子を観察することに成功した。膜に局在させるアクトミオシンの濃度や、アクチンネットワークの架橋度、アクチン線維と膜との接着力を変化させ、ブレブ様の膜突出が形成される条件を明らかにした。さらにブレブ形成には、コルテックスと膜の接着の剥がれる場合と、コルテックスが破れる場合の2パターンがあることを突き止め、アクチン線維と膜との接着点の密度に応じてどちらのパターンが優勢になるかを、物理モデルで定性的に説明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度ではC02計画班の前多裕介氏の協力のもと、油中液滴を様々な形状をしたPDMS製のマイクロウェルに封入し、界面形状がアクトミオシン動態に及ぼす影響を定量的に解析することを提案していたが、Covid-19の感染拡大の影響で共同実験を行うことが難しかった。そこで、当初は2年目に予定していたリポソームを用いた実験を先に進め、アクトミオシン動態と膜変形の関係を定量化することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは初年度で観察された、アクトミオシンを封入したリポソームによる膜変形現象について、ブレブ形成の条件を定量的に再現できる物理モデルの構築を行う。続いて、このリポソームを2枚のスライドガラスで挟むなどして膜と基板の間に相互作用を導入し、ブレブ形成によりリポソームが並進運動する条件を解明する。並行して、アクトミオシンを封入した油中液滴を様々な形状の微小チャンバーにはめ込み、界面形状とアクトミオシン動態の関係を定量化する。アクティブ流体モデルなどを用いて観察結果を物理現象として理解し、アクトミオシンの収縮力が並進運動に変換される仕組みの全容解明を目指す。
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