研究実績の概要 |
本年度は発生時計の司令塔(発生時計シンギュラリティ細胞)となる細胞の同定に成功した。発生速度を制御する分泌因子であるビタミンD合成に必要な酵素であるCYP2r1, CYP27B1また分解に必要な酵素をCYP24A1の発現を詳しくIn situ hybridization法にて調べた結果、これらの酵素は全て胚体内の細胞ではなく胚体外で徘徊する少数の細胞で発現することを発見した。さらにこのような細胞は胚内ビタミンD濃度に依存して、ビタミンD量を調節制御する働きがあることが分かった。つまり、このような胚体外徘徊細胞が発生時計シンギュラリティ細胞として働き、必要に応じて胚の時計を調節する役割があることが分かってきた。 また一方で、AMATERAS(アマテラス)を用いた胚の集団解析も開始した。AMATERAS(アマテラス)を用いいることでキリフィッシュ胚の集団(50個ほど)で細胞レベルで観察できることが分かってきた。この方法を用いいることにより、発生時計シンギュラリティ細胞の働きを集団間で同時に観察できることが可能になり、個々の個体における発生時計の違いを解析できる可能性がある。
|