研究領域 | シンギュラリティ生物学 |
研究課題/領域番号 |
21H00429
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 伸弥 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (80462703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / 自己反応性リンパ球 |
研究実績の概要 |
申請者は、新規自己免疫疾患マウスモデルを樹立しており、そのマウスにおいては、自己反応性B細胞の活性化が引き起こされ、それら活性化自己反応性B細胞との細胞間相互作用を介して、T細胞の活性化が引き起こされる。一方で、この従来モデルにおいては、自己反応性B細胞の活性化は自然発生的に引き起こされる為、従って、T細胞の活性化時期を制御することは不可能であった。当年度においては、タモキシフェン投与によって、自己反応性B細胞の活性化を任意のタイミングで引き起こすことができるマウスモデルを新たに樹立した。このマウスモデルにおいては、タモキシフェン投与によって、T細胞活性化依存的な自己抗体産生が認められたことから、初期活性化以降の自己反応性T細胞の動態を解析できるモデルであることが示唆された。次に、活性化自己反応性シンギュラリティT細胞の可視化に必要なB7センサーの構築を目指し、B7センサーを構成するNotch膜貫通領域-組換え酵素Creの機能をインビトロで検証する為、CAGプロモーター下流にLoxp-STOP-Loxp-DsRed2を安定的に保持する細胞株を樹立した。同細胞株におけるCre発現によって、DsRed2発現が認められ、上記レポーターシステムが機能していることを確認した。また、B7センサーを構成する要素のうち、リガンド認識によって、細胞内ドメインが機能するか検討する為、Notch膜貫通領域-CreERT2を連結したコンストラクトを構築した。さらに、上述したようにリガンド認識によるセンサー機能を検証する為、リガンドを発現する細胞株を樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誘導型自己免疫疾患マウスモデルを新たに樹立し、それら新規マウスモデルをにおいて、任意のタイミングで自己反応性T細胞の活性化が誘導されることを示す結果が得られている。これは、自己反応性T細胞の初期活性化からそれ以降の動態、機能を解析できるモデルが機能的であることを示している。また、B7センサーの構築については、同センサーの機能性を検定する為の材料を樹立した。本年度において、これら準備した材料等を用い、機能検証が行える段階にあることから、実験計画は、概ね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績でも述べたように、任意のタイミングで自己反応性T細胞の活性化を誘導する新規自己免疫疾患マウスを作製した。このマウスモデルでは、同T細胞の初期活性化以降の動態、機能解析が可能である。従って、新規マウスモデルにT細胞の活性化を追跡するレポーターシステムを導入することで、活性化自己反応性T細胞の動態解析を試みる。また、初年度に樹立した材料を用いることで、B7センサーを構成する分子ドメインの機能性を検証する。それらが機能的であれば、それら分子ドメインを組み込むことにより、B7センサーを構築し、その機能性を確認する。続いて、同センサーを用いて、自己反応性T細胞の活性化の検出が可能であるか検証する。
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