研究領域 | 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新 |
研究課題/領域番号 |
21H05322
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川崎 真弘 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40513370)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | コミュニケーション / 運動 / リズム / 同期 / 生涯 / 脳波 |
研究実績の概要 |
コミュニケーションに見られる他者とのリズム運動の同期は、脳の老化防止や認知機能・社会性の向上に効果がある。しかし、このリズム運動同期はどのように遷移的に認知機能や社会性に影響するか、そして生涯を通じてどのようにすれば維持・向上することが可能なのか、について、行動成績および脳活動として定量的な評価と介入が完成していない。 本研究では若年層と高齢層を対象に、リズム運動前後における認知機能と社会性の変化を行動、心理、脳波データの測定及び解析によって比較することで、リズム運動同期の生涯学における意義を確立する。次に、このリズム運動同期の成績を維持・向上できる訓練方法を上記で確立した認知指標と生理指標によって、確立・検証する。 2021年度は若者を対象に、コミュニケーションにおけるリズム運動同期の役割を調べる予備実験を行なった。実験では言語コミュニケーション時のリズム運動の効果を3つの条件で調べた。1つめの条件では発話者はリズム運動の制限がなく発話した。2つ目の条件では発話者はリズム運動を止められた状態で発話した。3つ目の条件では2つ目の条件と同様発話者はリズム運動を止められた状態で発話するが、発話に合わせてリズム運動する聞き手を見ながら発話した。結果として条件1に比べ条件2は発話量が減り、発話時のリズム運動の効果が明らかになった。一方で条件3は条件2に比べ発話量が増加し、聞き手のリズム運動がコミュニケーションに影響を与えることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は研究項目「リズム運動が認知機能と社会性に与える効果の検証」を目指し、若者を対象に、社会性(コミュニケーション)におけるリズム運動同期の役割を調べる予備実験を実行することができた。本研究は実験の実施と解析の実施が中心になるテーマであるが、この予備実験の結果は今後の高齢者を対象に実験できる実験パラダイム・解析アルゴリズムを構築するうえで有用な結果である。上記の実験及び解析については、本学術変革領域研究の会議の中でも他研究者と議論することができ、おおむね順調に進展していることを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究項目「リズム運動が認知機能と社会性に与える効果の検証」を目指し、昨年度まで実施した予備実験の結果を受けて、若者と高齢者の間での結果の比較を行う計画である。特に若者においてリズム運動同期によってコミュニケーションの促進の可能性が示唆された結果が高齢者に対してはどのように変容するか否かを行動データより調べる計画である。さらにワーキングメモリ課題を併用することで認知機能への影響も確認する。
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