研究領域 | 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新 |
研究課題/領域番号 |
21H05326
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 亮 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20636641)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / ウィリアムズ症候群 / 生物学的年齢 / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
本研究は、DNAメチル化を基にした「生物学的年齢」を算出し、自閉スペクトラム症やそれとは逆の高い社交性を呈するウィリアムズ症候群の発達・加齢に伴う社会性や認知機能を精密に評価することを目的とする。これら神経発達症では、症状の個人差や小児から成人への移行医療の難しさから、発達・加齢と社会性や認知機能との関係は明らかになっていない。本研究では、DNAメチル化による「生物学的年齢」を算出し、 問診や質問紙、視線計測解析を実施することにより、発達・加齢と社会認知機能との関係を明らかにする。本研究結果は、神経発達症だけでなく、広く老化プロセスへの介入・支援への応用が期待される。 本研究の目的は、神経発達症の臨床検体を用いて、DNAメチル化を基にした「生物学的年齢」を算出し、問診や質問紙、ウェアラブルアイトラッカーを用いた視線計測解析により、発達・加齢に伴う社会性や認知機能を精密に評価することである。神経発達症では、言語的理解力を要する課題の場合、回答のばらつきが顕著に生じやすいため、問診や質問紙だけでは症状の評価が難しい面がある。そのため、より客観性の高いウェラブルアイトラッカーによる視線計測と「生物学的年齢」との関連性を示すことができれば、老化プロセスへの介入や適切な支援のための有用なツールになることが期待できる。 本年度は新型コロナ感染拡大等の影響もあり、既存の収集検体を中心に研究をすすめた。その結果は、領域研究会議や国際学術誌への発表を通じて、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、共同研究者と協力し、神経発達症の発達・加齢に伴う社会性や認知機能を精密に評価する。本年度は、臨床症状評価、DNAメチル化解析をすすめる予定であった。一方、新型コロナ感染拡大等の影響により、被験者リクルートの遅れ、試薬・消耗品などの入荷困難により、研究進捗に遅れが生じた。そのため、研究延長申請が承認され、2022年度も引き続き研究継続することとなった。 被験者のリクルートにも時間を要していることから、すでに収集済みの検体を用いた解析を中心に研究をすすめた。具体的には、自閉スペクトラム症とウィリアムズ症候群の症状評価の比較、DNAメチル化解析と生物学的年齢の算出を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究協力者とともに被験者のリクルートと症状評価を実施していく。とくにウィリアムズ症候群については、研究協力者とともに専門外来を立ち上げ、継続的に研究が展開できる基盤を構築する。またDNA化解析についても、検体収集と平行して実施していく予定である。
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