本研究は、地域で暮らす超高齢者の「比較的自立した」生活とはどのようなものを明らかにし、それを継続するための認知機能の程度や心理社会的な要因を検討することを目的として、①85歳以上の自宅で暮らす超高齢者を対象に自立度、認知機能、運動機能の関連と、3年後の変化、②自宅生活に関するインタビュー調査を実施した。「比較的自立した」とは、自立した生活は難しいが、低下した能力に対して部分的に支援を受けることで、本人がこれまでの生活に近い状況で生活をし続けることができる状態を示す。 研究の結果、①では、独居群は非独居群と比較して認知機能が高かったが、筋力は弱かった。独居群は非独居群と比較して、日常生活動作、ウェルビーイングには差は無かったが、加齢により複雑な日常生活動作、認知機能は有意に低下していた。以上の結果から、比較的自立した生活を継続するためは、認知機能を維持すること、低下した認知機能を補う支援が必要であること、また特に85歳以上の超高齢者は、高齢になるほど日常生活機能に関する支援の必要性が高まることが示唆された。②のインタビュー調査の結果からは、地域で自立して暮らすために行っていること、暮らし続けるための促進因子ならびに阻害因子を抽出することができた。
|