研究実績の概要 |
本研究課題の第一の目的は、展望記憶の自己認識に及ぼす加齢の影響と展望記憶における認知予備能の役割を解明することであった。この目的を達成するため、展望記憶の自己認識に及ぼす加齢の影響と展望記憶における認知予備能の役割を明らかにするためウェブ調査を実施した。インターネット調査会社の調査パネルを用いて20歳~90歳の2,850名から回答を得た。なお,同居する 家族にも回答を依頼した。結果、1.高齢群は若者群に比べ自身の展望記憶に対する自己評価が高く、自己認識が正確であること、2.認知予備能高群は低群に比べ自身の展望記憶に対する自己評価が高く、 自己認識が正確であること、3.高齢群では全体的に認知予備力高群は自身の展望記憶に対する自己評価が高く、自己認識が正確であることなどが明らかとなった。 また、第二の目的は、展望記憶トレーニングの効果に関わる神経基盤、そしてトレーニングの促進要因としての認知予備能の影響について明らかにすることであった。研究の遅れに伴い、展望記憶トレーニングの効果に関わる神経基盤については検討ができなかった。トレーニングの促進要因としての認知予備能の影響については、VRを活用した認知トレーニングへの適応(使用感)と認知予備能、および情報処理不安などとの関連を探索的に検討した。小数例への実施であるが、VRなど最新の機器を用いた認知トレーニングには、認知予備力や過去の情報機器の利用経験、テクノフォビアなどが関連する可能性が推察された。上記の成果については、2024年度中に論文としてまとめ、投稿する予定である。
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