研究領域 | 土器を掘る:22世紀型考古資料学の構築と社会実装をめざした技術開発型研究 |
研究課題/領域番号 |
21H05351
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾嵜 大真 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (20399265)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 超微量炭素14測定 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、数十μg炭素という超微量試料の放射性炭素年代測定を、「失敗が少なく、精確さも犠牲にしない」形でルーチン化することにある。これまで、東京大学総合研究博物館放射性炭素年代測定室において研究開発を進めている超微量測定の技術を、より安定的で効率的なものにすることで、考古学など広い分野での応用が期待される。 超微量測定のルーチン化を達成するためには、高度にコントロールされた試料調製および測定プロトコルの最適化が必要条件となる。年代測定の基本的なプロセスは、試料から加速器質量分析計(AMS)用測定試料を調製、準備し、AMSにより放射性炭素測定を行う、というステップを踏む。このうち超微量測定で特に重要となるのは、AMS用測定試料の調製であり、化学的に均質で状態の良い測定試料が得られれば、測定の成功率を格段に向上させられる。 研究初年度は、まず、安定した測定試料調製を実現する化学プロセスの最適化、そして、精度の高い測定準備の効率化を進めた。放射性炭素年代測定室で蓄積されたノウハウをベースに、複雑な化学反応を完全にコントロールするための、反応温度や圧力、時間の精密制御システムを改良し、また、環境から混入する汚染を排する反応設備の拡充も行った。一方、生成されたターゲットを同一条件下で測定するため、自動装填システムを導入し、測定の効率化に向けた改造を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨今の世界情勢における物流の遅延により、試料調製システムの構築に必要な部材、設備の確保に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度目の上半期は、初年度に取りかかった超微量試料用の測定試料調整システムの構築を進め、性能確認を行いつつ、試料調製の効率化を具体的に進める。また、安定した測定を実現するために導入した自動装填システムに必要な改良を施し、測定の効率化を図る。 下半期においては、標準物質などにより測定プロトコルおよび測定データの検証を行い、実際に考古資料なども用いながら応用に向けた実績を蓄積する。
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