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2021 年度 実績報告書

中国における造瓦技術の遡源的研究-新石器時代晩期の黄河中流域を起点として-

公募研究

研究領域中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ
研究課題/領域番号 21H05364
研究機関金沢大学

研究代表者

呂 梦  金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 博士研究員 (90894288)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
キーワード中国考古学 / 初期国家形成期 / 瓦
研究実績の概要

本研究では、新石器時代晩期の陝西省を中心とする黄河中流域の瓦を起点として、中国における瓦の起源と青銅器時代初期までの発展過程を解明し、併せて、その背景としての初期国家形成期の集団間関係を再構することを目的とする。
2021年度に行われた新石器時代晩期瓦の収集作業をもとに、2022年度は、二つの方向で研究を進めていた。まずは、中国青銅器時代瓦の資料収集を行って、新石器時代末期に創出された凹字形平瓦の衰退の実態を復原した。現在、凹字形平瓦が発見された青銅器時代の遺跡は、太行山脈の西側に位置する、3ヵ所の遺跡しかない。これに対して、青銅器時代に流行し始めた円弧形平瓦の分布はより広い、上述した3つの遺跡以外、太行山脈の東側の遺跡からも出土した。凹字形平瓦が徐々に円弧形平瓦に取って代わられ、秦の統一以降、古代中国の建物の屋根から姿を消した。もう一つの研究方向は、新石器時代晩期の黄河中流域に流行していた、円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせと、ギリシャのミケーネ文明に使用された、同じ様式の瓦との比較分析である。両者の間では、外形の類似だけではなく、製作技術の面でも似たような部分が存在する。
2022年度は、平瓦に注目して、二種類の瓦の創出と交代の流れ、さらにその背景にある社会的変遷を分析した。また、新石器時代晩期~青銅器時代初期において、円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせがユーラシア大陸の両側に存在していたことに気づき、将来、より広い範囲での国際的な比較研究を行う予定である。蘆山マオ遺跡出土瓦を中心とする論文「Roof Tile Production at Lushanmao Site: a case study of Neolithic roof tiles in China」を国際学術誌Archaeological Research in Asiaに投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度には、蘆山マオ遺跡出土瓦を中心に現地調査を行ったが、それ以降、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、中国各地における移動制限措置が実施されているため、対象資料に対する現地調査ができなかった。2022年度は主に報告書と簡報に載せた資料をもとに研究を行った。それが原因で、本課題の進捗状況が当初の企画よりやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

現在、新型コロナウイルス感染症が収束し、中国調査ができるようになった。2023年度には、中国の陝西省、甘粛省、河南省に赴き、石マオ、橋村、鄭州商城などの遺跡に現地調査を行う予定である。その後、前年度の資料調査から得た中国国家形成期における瓦の変化の全体図をもとに、重要な遺跡の現地調査の結果を入れて、より詳細的に凹字形平瓦が代表とする新石器時代晩期の瓦群から、円弧形平瓦が代表とする青銅器時代以降の瓦群への流れを分析する予定である。
また、新石器時代晩期の黄河中流域における円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせと、ギリシャのミケーネ文明の瓦群との類似性につきまして、ユーラシア大陸の両側に発見された両者の間には直接の繋がりがないと考えているが、両者ともに瓦生産の面で影響を与えた古代文明の存在を検討する必要があると考える。今後、ユーラシア大陸中央部の屋根材に関する資料を収集・検討する予定がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] 中国社会科学院考古研究所/陝西省考古研究院(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中国社会科学院考古研究所/陝西省考古研究院
  • [雑誌論文] 試論北朝制瓦手工業生産模式的発展2024

    • 著者名/発表者名
      呂夢
    • 雑誌名

      考古与文物

      巻: - ページ: 137-144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 瓦からみた雲崗石窟窟頂西区寺院の造営過程2023

    • 著者名/発表者名
      呂夢、張慶捷
    • 雑誌名

      中国考古学

      巻: 22 ページ: 109-120

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 蘆山マオ遺址出土瓦制品所見新石器時代的瓦生産及其使用2023

    • 著者名/発表者名
      呂夢、馬明志
    • 雑誌名

      中国文明起源の考古学

      巻: - ページ: 印刷中

    • 国際共著
  • [雑誌論文] 2020~2021年度日本中国考古学研究概覧2023

    • 著者名/発表者名
      呂夢、秦小麗
    • 雑誌名

      世界考古研究動態

      巻: - ページ: 印刷中

    • 国際共著
  • [雑誌論文] 北朝隋唐瓦当制作技術的変革-従木范到子母范-2023

    • 著者名/発表者名
      呂夢
    • 雑誌名

      文物

      巻: - ページ: 掲載決定

    • 査読あり
  • [学会発表] 北朝隋唐時代における瓦当製作技術の変遷-木笵から子母笵へ-2023

    • 著者名/発表者名
      呂夢
    • 学会等名
      歴史考古学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 唐長安西明寺出土瓦制品的様式、技術与生産集団2022

    • 著者名/発表者名
      呂夢
    • 学会等名
      中日青年考古論壇
    • 国際学会
  • [学会発表] Beginnings of roof tile production in Neolithic North China focusing on identification of prehistoric roof tiles2022

    • 著者名/発表者名
      Meng LYU, Mingzhi MA
    • 学会等名
      The Ninth Worldwide Conference of the Society for East Asian Archaeology
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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