公募研究
1. データベース構築:本研究の主要史資料は、帝政末期ヴォルガ・ウラル地域のウラマーの1人であるリザエッディン・ブン・ファフレッディンが著した人名録『事績』第1、第2巻(カザン、オレンブルグ、1900~1908年)である。研究実績報告者は、そのテキストから、人名項目として見出し語になっているウラマーの名、その他のウラマーの名、彼らの出生地、師事したウラマーの名やそのマドラサの所在地、彼らがイマーム等の職に就いた場合の勤務地や活動地、そして親や兄弟姉妹、妻や子の情報等を抽出し、データベースの作成を進めた。2. 文献収集:上述の『事績』から抽出した情報の分析に必要な文献を収集した。研究計画時にはロシア連邦の研究者の助力で、ロシアに所蔵される文献を収集するつもりだったが、ロシアによるウクライナ侵略の経緯でそれが難しくなったため、ウズベキスタン共和国科学アカデミー・ビールーニー名称東洋学研究所で文献の所在調査と収集を行った。3. 人文情報学を援用した研究手法の検討と成果公開:上述の『事績』から抽出した情報の分析と可視化に必要な人文情報学を援用した研究手法について、最適なものを選ぶための検討を行った。研究目的の第1、学問のための移動と人的ネットワーク、主要な学問拠点の形成と維持の様相の解明には、GIS(QGIS)を利用するものとした。研究目的の第2、婚姻と姻戚づくりのプロセスの分析によるウラマー家系の出現過程の解明に利用するツールの検討は、簡単でないことが判明した。4. 主要史資料の質的分析による「ウラマーの共同体」の意味の分析:上述の『事績』の数的・量的な分析を進めつつ、分析手法そのものについても検討する過程で、『事績』が「ウラマーの共同体」を提示しようとした著作であることを、テキストの質的分析によって解明する必要があると判断した。そして、その成果を口頭報告にまとめて発表した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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『日本に暮らすムスリム』(イスラーム・ジェンダースタディーズ7)(長沢栄治監・嶺崎寛子編、明石書店)
巻: - ページ: 206-209
『近代中央ユーラシアにおける歴史叙述と過去の参照(野田仁編、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
巻: SCI 119 / MEIS 29 ページ: 225-243
『中央ユーラシア文化事典』(小松久男ほか編、丸善出版)
巻: - ページ: 192-193
巻: - ページ: 194-195
巻: - ページ: 282-283