研究領域 | イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造 |
研究課題/領域番号 |
21H05373
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 東京大学, 附属図書館, 特任研究員 (00722365)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 多言語社会 / ウルドゥー語 / やさしい言語 / 言語権 / 共通語 / 母語 / パキスタン |
研究実績の概要 |
1年目である本年は、多言語社会であるパキスタンの言語権について、「多言語サービス」と「やさしいウルドゥー語」サービスの双方から文献研究を行った。その結果、多くのウルドゥー語研究が文学評論に偏っており、言語権に言及する先行研究が限られていること、僅かな先行事例は、南アジア系移民の海外移住先での言語権に関するものであることが明らかになった。 多言語社会や言語権についてまとめた成果は、言語教育の共同研究を進める大学英語教育学会言語政策研究会にて発表し、多言語状況や国外のパキスタン系移民による言語使用についてなど議論を行なった。東京大学のアジア研究図書館ニューズレターにて、ウルドゥー語の概要と文字についてのコラムを執筆し、ウルドゥー語のサンプル収集において手書き文字の判別が重要になることについて言及した。2022年3月行われた科研費学術変革領域研究 (A)「イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造」総括班2021年度イスラーム信頼学全体集会では、本研究の意義と進捗を公表した。 また、アルバイトの学生によってウルドゥー語のサンプルの入力が進められている。この入力作業の効率化を図る上で、ウルドゥー語の教育方法の改善という予定外の成果も見られた。 これからの研究にあたって必要となる人文情報学関連の技術的な手法を学ぶために、イスラーム信頼学C01班の勉強会に参加し、ソフトウェアや概要について勉強している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定していたパキスタンの多言語状況、言語権、母語と国語の状況についての先行研究の整理は完了している。しかし、サンプル入力に関しては、正確さを優先し、ダブルチェックの工程を増やしたため、アルバイトの入力スピードが想定より時間がかかっている。このため、テキスト事例の断片的な収集にとどまり、分析に至っていない。これは次年度の前半期に完了させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は予定通り、ウルドゥー語促進協会の月刊誌から国語についての議論の整理を行う。さらに、1年目に集積したウルドゥー語のサンプルを利用し、ウルドゥー語のOCR精度の向上を目指す。 引き続き、アルバイトの学生によってウルドゥー語のサンプルの入力作業を進める。特に、ダブルチェック体制を効率化し、正確さと教育効果の相乗を目指す。
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