研究領域 | イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造 |
研究課題/領域番号 |
21H05380
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
KHASHAN AMMAR 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 准教授 (70814888)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム福祉制度 / イスラーム信頼学 / デジタル化社会 / イスラーム経済論 / イスラーム金融 |
研究実績の概要 |
本研究は計画の主旨と目的に沿って、第一年目として、以下の研究活動を行った。 1.理論的研究:主としてアラビア語のイスラーム法学史資料を用いて「互助の信頼学」構築の作業をおこなった。まずクルアーンとハディースにおける互助の信頼学の要素を探り、理論的視座として、「ヌズム論」を全面的に活用した。2.学際的研究:研究協力者の参加をとともに、デジタル化社会におけるイスラーム金融とイスラーム通貨と仮想通貨をめぐるイスラーム法学議論となど学際的な視点を発展してきた。3.事例研究:ワクフ研究者の国際ネットワークを活用して、マレーシアやインドネシアなどイスラーム各国での事例研究の成果報告と討議をおこない、研究代表者自身は、デジタル化社会におけるイスラーム金融や通貨概念とワクフ(寄進財産)とザカート(喜捨)を比較しながらクラウドファンディングのプラットホームを用いた事例を研究してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第1年度として、全体的に順調に進展したうえに、国際的な研究交流も予定した以上に活発に進んできた。また国際的な研究集会に専門家と若手研究者から想定以上に積極的な参加を得られた上に、研究代表者は研究報告や論文の投稿もおこなった。全体的に評価すると当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は今年度と引き続き研究計画に沿って、しっかりと研究を進めたい。具体的に次のように研究を展開する予定である。 1.理論的研究:今年度では、主として初期イスラーム時代のアラビア語の法学関連の史資料を用いて「互助の信頼学」構築の作業をおこなったため、次年度はそれを継承し、特に理論的視座の「ヌズム論」を活用できる後期の史資料を中心として、互助の信頼学の特徴を探る。 2.学際的研究:研究協力者の参加を得て、デジタル化社会における人間存在をめぐる現代哲学の立場、イスラーム金融における民事紛争の解決策の現代的発展をめぐる知見などと、1.での新しい知見を交差させて、学際的な視点を発展させる。 3.事例研究:イスラーム金融の国際ネットワークを活用して、次年度は特にクウェートやマレーシアなどイスラーム各国での事例研究の成果報告と討議をおこない、研究代表者自身は、事例として、Finterranなどのデジタル・プラット・フォームを通じてワクフ(寄進財産)の分野で活用されているブロックチェーンについて、考察する予定である。
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