研究領域 | 次世代アストロケミストリー:素過程理解に基づく学理の再構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05421
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
羽馬 哲也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20579172)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 星間塵 / 触媒化学 / フィッシャー・トロプシュ反応 / ケイ酸塩鉱物表面 / 一酸化炭素分子 / 水素分子 |
研究実績の概要 |
太陽系を含む惑星系は,分子雲から原始惑星系円盤を経て進化し,それぞれの段階で多様な分子が生成する.近年,極低温環境にある分子雲における星間塵の表面の物理化学過程については,代表者らの実験研究により飛躍的に理解が進んだ.いっぽう原始惑星系円盤では,ケイ酸塩鉱物でできた星間塵の表面にH2やCOなどが化学吸着をおこし,フィッシャー・トロプシュ型の触媒反応をおこすことで炭化水素分子が生成すると考えられているが,その詳細についてはほとんど明らかになっていない. そこで本研究では星間塵鉱物表面における触媒反応を調べるために「光脱離+共鳴多光子イオン化法」を用いた実験装置の開発を目指す.本研究課題は2021年9月に採択されたため,本年度は装置の設計ならびに必要備品の選定,購入までを行った.鉱物試料については,フォルステライト(Mg2SiO4)の(010)面(へき開面)の薄片試料(10×10×1 mm)を橘省吾教授(東京大学)のご協力のもと入手した. 本研究では「温調用」と「イオン押し出し電極」の2枚のタングステン円板を鉱物試料に接着する.接着には,絶縁性で超高真空・高温環境でも使用できる耐熱セラミック接着剤を用いる.鉱物試料から遠いタングステン円板は「温調用」で,タンタルワイヤーをスポット溶接し,無酸素銅,サファイア板を通して冷凍機と接続することで鉱物試料を冷却する.試料の加熱はタンタルワイヤーの通電加熱により行う.鉱物試料に近いタングステン円板は絶縁性の接着剤により電位が独立しているため,「光脱離+共鳴多光子イオン化法」のための「イオン押し出し電極」として使用する.本年度はこれらについて詳細な設計を行った. また並行して「光脱離+共鳴多光子イオン化法」のための光脱離用のエキシマーレーザーと共鳴多光子イオン用の色素レーザーの立ち上げを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の設計や開発などは今のところ滞りなく進んでいるため.新型コロナウイルス感染症の影響で一部の備品や消耗品類の納入が遅くなっているが,今のところ研究の進捗に大きな問題は生じていない.
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今後の研究の推進方策 |
今後は設計した真空チャンバーなどをもとに装置の組み上げを行う予定である.鉱物試料については,真空チャンバー内に導入する前に大気中で450℃で5時間加熱することで表面に付着した有機物を除去する.装置の組み上げが成功した後,フィッシャー・トロプシュ反応について実験を行う.光脱離+共鳴多光子イオン化法を用いることでフィッシャー・トロプシュ反応の生成物として考えられるCH, CH2, CH3, OHラジカルなどのを直接検出し,反応素過程を解明することを目指す.
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