今後の研究の推進方策 |
今後は、 主にシュヴァルツシルト法のコード構築に焦点をあてて集中的に取り組んでいく。本年度に、この動力学解析モデルを効率的に計算するGPUマシンを購入したので、それに適したコード開発を進めていく。まずは球対称分布を仮定した場合のシュヴァルツシルト法を完成させ、実際の観測データにこのモデルを適用することで、構築したコードの整合性を確認する。そして、構築済みの球対称動力学解析モデル(例えば球対称ジーンズ解析)と結果を比較することで、モデル間の不定性がどの程度現れるのかを調べる。そして球対称モデルから、より一般的な軸対称モデルへの拡張を目指す。 一方、すばるPFSでの観測を考慮した模擬データを作成し、構築した動力学解析モデル(ジーンズ解析、シュヴァルツシルト法)を用いて模擬解析を行う。模擬データの生成に関しては、位置や速度の情報は分布関数と仮定したダークマターポテンシャルを用いて行う。恒星特有の情報(等級、色、金属量など)については、すばるPFSで観測予定の矮小銀河のデータを参考にランダムに振り分ける。本年度では、PFSターゲットの1つであるDraco矮小銀河に対して模擬データを作成している。今後は、その他の矮小銀河(BootesI, Ursa Minor, Sculptor, Sextans, Fornax)に対応した模擬データの生成、そして模擬解析を行う。これによって、モデル間の不定性を正しく理解したうえで、すばるPFSによって銀河系矮小銀河のダークマター分布の高精度決定が可能になることを定量的に示す。
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