研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
21H05455
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
風間 慎吾 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (40736592)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 液体キセノン / アクシオン / トリチウム / 電子反跳 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、宇宙に存在する未知の物質、暗黒物質を発見しその正体を解明することにある。申請者が参加したXENON1T実験(1T実験)では、低エネルギー電子反跳事象の探索を行ったところ、約3.3σの統計的有意性で予想を超える超過が見つかり、電子と弱く結合する低質量の暗黒物質や太陽アクシオンなど様々な可能性が検討されている。しかし1T実験では、トリチウム(水素の放射性同位体でキセノン検出器中には水や水素の形態で存在する可能性がある)など予期せぬ背景事象(BG)の混入の可能性も排除できず、素粒子標準理論を超えた新たな物理の発見のためには、より信頼度の高い観測が不可欠な状況となっている。申請者は大型化(1Tの3倍)かつ、低BG化(1Tの1/6)したXENONnT検出器を用いてその検証を行っている。XENONnT実験は2021年4月より稼働を始めており、現在取得中の低エネルギー電子反跳事象のデータ解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
XENONnT実験が予定通り観測を遂行中であり、放射性ラドン量も期待通り低減することが可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
1T実験のBGの約1/10を達成し、この環境のもと3ヶ月ほど観測を行う。これにより、低エネルギー電子反跳事象の探索を史上最高感度で行い、1T実 験で発見された電子事象超過の検証とその背後に潜む物理の解明を行う。
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