研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
21H05460
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 惇也 京都大学, 理学研究科, 助教 (90795014)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | FPGA / RFSoC / ダークマター / アクシオン / ダークフォトン |
研究実績の概要 |
本研究ではアクシオンやダークフォトンなどを広帯域に探索するためのスペクトロメータの開発を行う。従来マイクロ波共振空洞を用いた探索が行われていたが、球面鏡などを用いた新しい手法が提案されている。この新手法では広帯域の質量にわたってダークマター探索を行うことができるが、これを効率よく行うためには帯域の広い分光器を用いる必要がある。市販のシグナルアナライザーでは帯域が足りないため、本研究では ADC/DAC と FPGA が一体となった RFSoC を用いて独自に分光器を開発する。 本年度は RFSoC のファームウェア開発を行なった。分光器のファームウェアでは (A) 広帯域分光 (B) データ量削減、の二つの課題に取り組む必要がある。以下ではこれらの各課題について説明を行う。 (A): 用いた RFSoC では 4 GHz の ADC サンプリング周波数であるため、 IQ ミキサーと組み合わせることにより最大 4 GHz の帯域を確保することができる。一方、 FPGA の動作周波数は最大でも 300 MHz 程度と遅いため、ベクター処理を行なう必要がある。この課題を解決するため、高位合成を駆使してファームウェアの開発を行い、 4 GHz 帯域での分光器をファームウェア上に構築することができた。 (B): (A) で得られた分光データは膨大な量となりそのままホスト PC に転送することができない。アクシオンなどのダークマター探索では細かい時系列データを取得する必要はないため、分光後に蓄積するダウンサンプリング処理を行う。こちらでも高位合成を駆使することによって開発期間を短縮し、通常の Ethernet ケーブルで転送できるまでデータ量を圧縮することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高位合成を用いることで効率よく開発を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
購入したアンプなどを用いて実際の放射源を用いた性能調査を行い、本研究で目指した効率のよい探索ができることを実証する。
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