公募研究
2020年6月,XENON1T実験より太陽アクシオン起源と解釈可能な信号が初めて得られた.アクシオン以外の可能性も残るが,アクシオン起源であった場合には,電子,光子,原子核それぞれとの相互作用の混合と解釈される.アクシオンの背後の物理を探るには,相互作用ごとに特化した測定が喫緊である.そこで独自の「イベント駆動型X線SOIPIX」を用いる2つの実験,テーブルトップ型の「ISAI実験」と次世代硬X線衛星FORCEによる「ALPINE観測」を開始する.それぞれの実験は原子核または光子との相互作用に特化しており,混合の不定性が無い.ISAI実験で従来を超える感度でアクシオンを探索し,アクシオンの質量や原子核との相互作用の強さに対し,過去最高の制限をつける.さらにISAI実験で得た知見から,衛星搭載用SOIPIXの高性能化を行い,FORCE衛星とALPINE観測の実現性を高める.2年間の研究実績として,(1) 本研究開始前までに行っていた全体の構成の検討をさらに進め,それぞれのコンポーネントの間のインターフェースを決定した.(2)実験に必要な装置の導入を行った.すなわち,低温動作させ暗電流を抑えるために必要な恒温槽,太陽アクシオンの標的となるFe-57箔,必要なイベント駆動型X線SOIPIXの確保,読み出し回路基板の確保, アクティブシールドの部材の製造などである.別途確保した科研費で,カメラ部の無酸素銅やFe-57箔フォルダの製造も行った.(3) SOIPIX素子の性能向上にもつとめ,アナログ出力波形の改善を行った新しい大型素子XRPIX-Xの製造を行った.以上の開発研究から,コミッショニングに必要な準備は終了することができた.これが本研究の実績である.本研究に引き続き,同じ学術変革領域の公募研究として新たに採択されたので,太陽アクシオン観測を開始する.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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