研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
21H05468
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石垣 侑祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60776475)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 長い結合 / πダイマー / 酸化還元系 / 分子内相互作用 / クロミズム |
研究実績の概要 |
本研究は,本学術変革領域が目指す"X"-conjugationの学理確立に向け,原子間距離を緻密に制御することで,特異な電子状態に基づく未踏機能の実現に寄与することを目的とし、以下の三つの課題を推進している。 課題Iでは,空隙の最小化による高密度共役の実現に向け,『極度に伸長したC-C単結合の切断に基づく超近接πダイマー創製』を進めている。具体的には,長いσ結合種を前駆体とするπダイマー創出アプローチを提案し,実験及び理論計算の両面から検討を実施した。その結果,前駆体であるジカチオン種において3.0 Åを下回る炭素…炭素原子間距離を明らかにし,興味深いレドックス特性を見出した。 課題IIでは,非結合状態のさらなる安定化と,外部刺激による劇的な電子構造変化を目的とし,『ヘテロ原子への展開によるσ結合/超近接πダイマーの外部刺激制御』を推進している。現在までに,窒素原子を導入した誘導体を構築し,合成過程で新規π共役系分子の創出を実現した。これらについてさらなる検討を行う。 課題IIIでは,レドックス活性部位を大環状分子に組み込むことで,それぞれの酸化状態に応じてユニット間距離を高度に制御することを目的とし,『シクロファン型酸化還元系の創製に基づく三次元共役の実現』に挑戦している。これまでに,二つのタイプの大環状ジカチオンを構築し,固相,あるいは溶液相において分子内相互作用の発現を確認している。シクロファン型分子構築法の確立に成功したため,酸化還元による物性変調を達成し,三次元共役の実現へとつなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題にて提案した三つの課題において,合成ルートを確立し,それぞれの設計指針の有効性が確認されている。固相及び溶液相において,分子内相互作用の発現も確認できているため,順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
課題I及び課題IIでは,超近接πダイマーの実現に向け,最長のC-C単結合を示し得る分子の構築とヘテロ原子への拡張に関する検討を継続して実施する。これまでに得られた知見に基づき,ラジカル種の安定化に寄与するシェル構造と剛直な足場の適切な組み合わせを選定していく。ここで,剛直な足場として設定したπ骨格は課題I-IIIに共通する部分構造であるため,シザー効果,あるいは二面角の変化による原子間距離の変調が可能な骨格についても検討を進める計画である。 また,課題IIIに関して,これまでシクロファン型ジカチオンを複数構築し,特異なレドックス挙動を見出してきた。今後は,これまでに得られた知見についてまとめ,目的の実現に向けて設計指針を最適化する。 以上の課題について研究成果をまとめ,論文として公表する計画である。
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