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2021 年度 実績報告書

配位ナノ空間が可能にする共役ナノ炭素材料の創製と高密度集積

公募研究

研究領域高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ
研究課題/領域番号 21H05473
研究機関東京大学

研究代表者

北尾 岳史  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70830769)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
キーワード多孔性金属錯体 / ポリアセン / 鋳型重合
研究実績の概要

アセンはベンゼン環が直線状に縮環した構造を有する多環芳香族炭化水素である。アセンはπ共役に由来する高い伝導性を有し、そのキャリア移動度はベンゼン環の個数が増えるに従い増加する。中でも、ベンゼン環が無数に連なったポリアセンは、高温超伝導が理論予想されている。そのため、ポリアセンは有機半導体材料への応用のみならず学術的な興味からも多くの注目を集めている。その一方で、アセンは、ベンゼン環の数が増えるとHOMOのエネルギー準位の上昇によって不安定化するため、容易に二量化や酸化が起こる。また、効率的にベンゼン環を伸長させる手法は存在しないため、ペンタセンの合成から100年以上がたった現在でも、ベンゼン環が12個のアセンが最長である。
多孔性金属錯体(MOF)は、金属イオンと有機配位子からなるナノサイズの細孔を有する多孔性材料である。MOFは高い規則性を有するだけでなく、その構成要素を適切に選択することで、サイズ、形状、表面環境など、細孔構造を緻密にデザインできる。そのため、MOFのナノ空間を、高分子やナノカーボン合成の場として用いることで、一次構造や高次構造を精密に制御することが可能になる。本研究では、MOFが有する一次元ナノ細孔内でナフタレン誘導体を重合した。モノマーのみを加熱した場合、分子間架橋反応が進行し、枝分かれ構造が形成した。一方、MOF内で反応させた場合、一次元的に重合反応が進行し、環が71個連結した前駆体ラダー状高分子が形成されていることが分かった。次に得られた前駆体高分子を加熱処理することで、ポリアセンへと変換した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ポリアセン前駆体の合成が完了し、未踏化合物であるポリアセンの実現が可能になりつつあるため。

今後の研究の推進方策

得られたポリアセンの詳細な構造解析と、その物性調査を行う。MOF細孔内に取り込まれたポリアセンは、単分子状態で拘束されており、ポリアセン一本の物性評価が可能である。伝導度、磁性など、種々の測定を行うことで、ポリアセンの特異な物性を解明する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Nanoconfinement of an Otherwise Useless Fluorophore in Metal?Organic Frameworks to Elicit and Tune Emission2022

    • 著者名/発表者名
      Miura Takumi、Kitao Takashi、Uemura Takashi
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry C

      巻: 126 ページ: 6628~6636

    • DOI

      10.1021/acs.jpcc.2c00574

  • [学会発表] 錯体ナノ空間を用いた芳香族ラダー高分子の合成2022

    • 著者名/発表者名
      三浦 匠、北尾 岳史、植村 卓史
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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