研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
21H05510
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
北尾 彰朗 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (30252422)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 複合体立体構造予測 / 結合親和性予測 / ColDock / evERdock / PaCS-MD/MSM |
研究実績の概要 |
本研究では、先端的な分子シミュレーションを用いて、生体内で「弱い相互作用」によって形成される分子複合体を予測する方法を開発し、リガンドやナノマテリアルが細胞表面受容体などと形成する複合体立体構造予測に応用することを目指している。また先端的な分子シミュレーションを用いて、結合自由エネルギーや結合・解離速度定数などを予測することで「弱い相互作用」を定量的に評価する方法を確立し、この領域で実験研究の対象となる複合体の結合親和性を予測する。更に予測された複合体の分子シミュレーションから、「弱い相互作用」が及ぼす分子レベルでの効果を予測する方法を開発し、リガンドやナノマテリアルが細胞表面受容体やその下流に与える影響を解明することを目指している。そのために、本年度は複合体立体構造から解離を行うdPaCS-MD/MSM法、解離状態から結合・解離サイクルを繰り返すa/dPaCS-MD/MSM法やColDock法、evERdock法をタンパク質とナノマテリアルの複合体などの立体構造予測にも利用できるようにシミュレーション法やモデルの開発・改良を行った。また領域内の共同研究を中心として様々な分子複合体を対象に研究を展開した。具体的には、ヘルペスウイルスのglycoprotein BとPILRαの相互作用、物質共生に大きくかかわるPEG-PEG抗体の弱い相互作用、味覚受容体のアミノ酸認識、GLUTやSGLTによる糖の選択的認識、アデノシン A2A 受容体と低分子化合物の相互作用などの研究を領域内の共同研究者と協力しながら開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定してた免疫系の相互作用の研究(ヘルペスウイルスのglycoprotein BとPILRαの相互作用がこれに当たる)、および物質共生に大きくかかわるPEG-PEG抗体の弱い相互作用の研究に加えて、共同研究として味覚受容体のアミノ酸認識、GLUTやSGLTによる糖の選択的認識、アデノシン A2A 受容体と低分子化合物の相互作用などの共同研究を領域内の研究者と開始することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、複合体立体構造から解離を行うdPaCS-MD/MSM法、解離状態から結合・解離サイクルを繰り返すa/dPaCS-MD/MSM法やColDock法、evERdock法をタンパク質とナノマテリアルの複合体などの立体構造予測にも利用できるようにシミュレーション法やモデルの開発・改良を行う。領域内の共同研究を中心として様々な分子複合体を対象に研究を展開する。具体的には昨年度と同様に、ヘルペスウイルスのglycoprotein BとPILRαの相互作用、物質共生に大きくかかわるPEG-PEG抗体の弱い相互作用、味覚受容体のアミノ酸認識、GLUTやSGLTによる糖の選択的認識、アデノシン A2A 受容体と低分子化合物の相互作用などの研究を、領域内の共同研究者と連携して実験データと比較しながら展開する。前年度と同様に実験値があるものについてはそれらの再現度も確認し、必要があれば方法の改良を進めながら研究を遂行する。
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