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2021 年度 実績報告書

高分子バイオマテリアルと生体の物質共生パラメーター解析

公募研究

研究領域マテリアルシンバイオシスための生命物理化学
研究課題/領域番号 21H05523
研究機関信州大学

研究代表者

橋本 朋子  信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10589930)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
キーワード高分子バイオマテリアル / 物質共生 / 材料物性
研究実績の概要

数多くの高分子バイオマテリアルが医療機器を構成し、病態の改善、治癒、組織再生を担っている。本研究では、高分子バイオマテリアルと生体との「物質共生」を【バイオマテリアルが治療目的で生体内に留置された後、一定の免疫応答を惹起するものの、徐々に沈静化するとともに生体に受け入れられ、治癒や組織構築、開存維持など、役割を全うできる弱い相互作用を示すこと】と定義し、既存医療機器で用いられている各種高分子バイオマテリアルの「材料特性」と「材料‐生体(細胞)間の弱い相互作用」の関係を調べることを目的としている。また、天然高分子であり非吸収性縫合糸としても使用されているシルクフィブロイン材料固有の特性と生体との間に働きうる相互作用の把握を目指す。
形状に由来する影響ではなく、素材の特性が与える影響を調べるため、まずフィルムでの評価を行った。分子量を変化させない様々な条件で各高分子材料フィルムを作製した。得られた材料の表面および表面近傍の構造や結晶性などの特性を各種分光法により調べた。また、細胞やタンパク量との相互作用の指標となる濡れ性をフィルムの水接触角測定により解析した。さらに材料と細胞とのミクロ環境での相互作用評価として、材料上に細胞を播種し、接着挙動や増殖パターンを調べた。また、タンパク質ではあるものの、生理活性配列を有しないにもかかわらず特徴的な細胞挙動を誘導する可能性があるシルクフィブロインに着目し、他の高分子材料と同様に表面近傍の特性評価を行い、材料-生体間に働く弱い相互作用の解析を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

まずフィルムを用いた検討を行っている。加熱処理や溶媒を用いた処理により各高分子材料フィルムを作製し、構造や結晶性、水濡れ性などの材料特性を調べた。特に、生体と触れうる材料表面の構造解析として、計画時点では組み入れていなかった新しい分析を取り入れ評価を進めた。
また得られた各フィルムを用いたin vitro評価を行いながら、in vivoでの評価系確立の準備などを進めている状況にある。この状況より、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

様々な処理を施し、作製した材料の表面特性解析をさらに進める。in vitro評価として、各種材料と触れうる細胞を選択し、それら材料上で培養した細胞の網羅的、および定量的遺伝子発現解析を行い、免疫応答、組織再構築や血管新生などの発現プロファイル取得を目指す。得られた結果をフィードバックし材料特性との相互作用を左右する要因を絞り込む。さらに、特性解析を行った各種高分子をそれら材料が使用されうるラットの組織・部位に埋入・留置し、所定期間経過後の周辺組織の反応を免疫染色などにより調べる。

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公開日: 2022-12-28  

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