本研究では、(1)多様な超秩序構造材料の大規模量子分子動力学計算を実現するプログラムの開発と、(2)準安定結晶構造データベースとパーシステント・ホモロジー解析を利用したアモルファス-結晶の構造相関解析手法の開発を推進することにより、超秩序構造材料の機能発現機構を原子レベルで解明する計算化学プラットフォームを構築し、領域内の融合研究に利用する。 (1)に関して、昨年度開発した複合欠陥の大規模量子化学計算手法であるDC-xTB法のプログラムを拡張し、周期境界条件計算に対応した。本プログラムではエネルギー勾配の算定も可能であり、分子動力学計算に利用することもできる。また、部分状態密度(PDOS)のような電子状態を見ることも可能であり、これらの機能を利用した領域内共同研究も展開した。 (2)に関して、これまでSiO2とTiO2、MgOのデータベースを作成してきたが、本年度はSiO2と同様にガラス形成能の高いGeO2、また、酸化物以外で比較的ガラス形成能の高いZnCl2の準安定結晶構造データベースを作成し、そのパーシステント・ホモロジー解析を行った。低エネルギー準安定構造のダイアグラムを重ね合わせると、GeO2はSiO2と同様の傾向が見られたが、ZnCl2は低エネルギー準安定構造の数が非常に多く、酸化物と同様には比較できないことがわかった。 その他、領域内の融合研究として、GRRMを用いた4-ヒドロキシメチルフルフラールからのフミン生成初期過程の探索、パーシステント・ホモロジーを用いた反応経路地図の特徴量抽出法の開発、などを行った
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