本年度は,昨年構築された薄い水膜上のフェムト秒レーザー励起光源を照明光とするイメージングシステムを用いて,X線領域の撮像を試みた.撮像は,光源のラスタ走査により照明された物体の透過光を,ガイガーカウンタにより取得することで実施された.結果よりシステムは,可視領域で撮像できない紙背後に隠された物体形状の透視を可能にし,X線撮像に対する有効性が実証された.つぎに,照明された物体の透過光を可視およびX線領域で分離し,それぞれの光強度を取得する光学系へと再構築した.システムは,両波長領域を用いた撮像を可能にする形へ発展し,本研究は可視および非可視光をひとつのシステムで取得できる広帯域イメージング手法としての有効性を示した.さいごに,撮像時間の削減を試みた.撮像時間の削減は,光源を空間選択的に生成できることを活かした光源のランダムパターン生成と,圧縮センシングのアルゴリズムと組み合わせることで実施された.本システムは,ラスタ走査を用いた場合,取得したい画素数と同じ光源生成回数を撮像に必要としていたが,本手法の適用により,およそ20%の光源生成回数でも撮像可能となることが示された.これは,本システムにおいて32×32ピクセルの画像を取得する時間を1024秒から204秒に短縮できることを意味する.以上の成果は,国内外の学会で発表され,OPTICAの学術論文誌Optics Expressで公開された.
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