研究領域 | 散乱・揺らぎ場の包括的理解と透視の科学 |
研究課題/領域番号 |
21H05587
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 大輔 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (10712292)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | 高次脳機能 / 神経細胞活動 / 2光子顕微鏡 / デジタルホログラフィー技術 |
研究実績の概要 |
高次脳機能は、脳領域における局所神経細胞活動が精密に制御され、脳領域間での神経細胞活動が連動することで発現する。そのため、これらの神経細胞活動の時空間的制御が障害されると、高次脳機能障害を主症状とする神経精神疾患が発症する。従って、脳領域・脳領域間の神経細胞活動を正確に評価することは、神経精神疾患の病態を予測するバイオマーカーとなるばかりか、治療標的ともなりうる。そこで本研究は、空間光変調素子を用いたホログラフィック技術と2光子レーザー顕微鏡を用い、神経細胞活動を光計測・光操作することを目的とした。まずアデノ随伴ウイルスを用い、カルシウム感受性蛍光タンパク質を第一次体性感覚野の神経細胞へ導入することで、神経細胞活動を可視化した。その後、2光子顕微鏡により神経細胞の2次元位置情報を取得後、画面内にある数十個の神経細胞に対して、空間光変調素子を用いて作製した2次元レーザースポットを照射した。その結果、500um四方でイメージング速度が約100Hz、さらに最大時には約600Hzという高時間分解能で神経細胞活動を評価できる実験系を構築することができた。次に、アデノ随伴ウイルスを用い、カルシウム感受性蛍光タンパク質と光応答タンパク質を第一次体性感覚野の神経細胞へ導入することで、神経細胞活動の可視化と操作を行った。野生型マウスを用い、神経細胞の自発活動時および個々の神経細胞をホログラフィック刺激して得られる神経細胞活動を評価することで、局所神経回路の機能的な結合を網羅的に解析した。その結果、神経細胞の自発活動から神経回路を特徴付ける神経細胞間の機能的結合を予測することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高時間分解能で神経細胞活動を評価すること、さらに、神経細胞活動の操作により神経回路活動の特性を評価することができるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、神経精神疾患のモデルマウスに対して構築した実験系を適応し、脳領域間での神経細胞活動の評価・操作・予測を行うとともに、さらなる実験系の改良を行っていく予定である。
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