公募研究
本年度は、白色パルス光源を用いた顕微動的光散乱法の開発を行なった。1 MHzの繰り返し周波数を持つ白色レーザーパルスを、対物レンズを通して倒立型顕微鏡上に設置した試料に照射し、後方散乱光を同一の対物レンズによって集光した。そして、得られた後方散乱光を分光器に入れ、波長を分けながらフォトンカウンティング計測を行うことによって、濃厚コロイド溶液から発生する散乱光の時間相関関数の波長依存性を測定した。フォトンカウンティング計測においては、1 MHzで発生するレーザーパルスと同期した電気信号も同時に計測し、時間相関関数の計算においてジッターなどのノイズの影響を受けないようにした。開発した装置を用いて、高濃度(1~50 wt%)コロイド分散液の時間相関関数の波長依存性を測定した。ポリスチレン微粒子分散液については、Brown運動に特徴的な、緩和速度のq^2依存性(q:散乱ベクトルの大きさ)が明確に観測された。これに対し、ある種のコロイド粒子においては緩和速度がq^2からずれるということが示唆された。今後はこの点について、数値解析を含めて多面的に検証していきたいと考えている。また、並行する形で生細胞に対する顕微動的光散乱法の応用についても検証を行った。上皮細胞を用いた実験において、散乱光強度の時間相関関数に緩和成分が表れることを明らかにした。この実験結果は、動的光散乱法による揺らぎ計測が生体機能の解析に有効であることを示唆している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Bulletin of the Chemical Society of Japan
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