公募研究
我々は免疫組織化学染色にて検討を行ったところ、P4.5~P8.5の脳梁、小脳白質部におけるミクログリア細胞に、IgGへの結合が見られた。一方、海馬、中脳、延髄におけるミクログリア細胞にはIgGの結合が殆ど見られなかった。Flow Cytometryにより、ミクログリアに発現しているIgG受容体を解析したところ、CD64の高い発現が見られ、CD16およびCD32の発現も見られた。我々はミクログリア初代培養を用い、IgGの添加の有無による遺伝子発現変化を、RNA-Seqにより網羅的に解析した。その結果、IgG添加群でType Iインターフェロン関連遺伝子群の上昇が見られた。Type IインターフェロンはStat1のリン酸化により、各種遺伝子の発現を誘導する。IgGによりStat1のリン酸化を解析したところ、濃度依存的にStat1をリン酸化していることが分かった。母親のIgGは胎児期においては胎盤、生後は小腸から吸収される母乳にて子に移行する。我々はCRSIPR/Cas9システムを用い、C57BL/6J マウスでFcRnが全身で欠失したKOマウスを作製した。野生型とFcRn KOマウス間で体重や脳重量において有意差は見られなかった。FcRn KOマウスの脳ではミクログリアへのIgGの結合は消失していた。大脳におけるミクログリア細胞の密度を測定したところ、P8.5のFcRn KOにおいて有意に減少していた。また抑制性ニューロンの密度に関しては、calbindin陽性細胞、parvalbumin陽性細胞共にP21のFcRn KOマウスの大脳で有意に減少していた。オリゴデンドロサイトに関しては、MBP陽性細胞がP6.5の脳梁で有意に減少していた。また、網羅的行動解析も行った。その結果、FcRn KOマウスは野生型マウスに比べ、社会的相互作用の時間が上昇していることが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Neuroinflammation
巻: 21(1) ページ: 1-20
10.1186/s12974-024-03100-z.