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2021 年度 実績報告書

オリゴデンドロサイト-神経細胞相互作用のデコーディングによる自閉症の病態解明

公募研究

研究領域グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解
研究課題/領域番号 21H05619
研究機関金沢大学

研究代表者

川村 敦生  金沢大学, 医学系, 助教 (40898087)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
キーワードグリア細胞 / オリゴデンドロサイト / 神経細胞 / 自閉症 / ASD / クロマチンリモデリング / モデルマウス
研究実績の概要

グリア細胞の機能異常は不完全な神経回路形成を引き起こし、自閉症などの精神疾患の発症に寄与することが示唆されている。近年、クロマチンリモデリング因子CHD8が最も有力な自閉症原因候補遺伝子として同定され、世界中で大きな反響を呼んでいる。われわれはオリゴデンドロサイト特異的CHD8ヘテロ欠損マウスを作製して行動解析を行ったところ、このマウスは自閉症様の行動異常を示すことが判明した。さらに拡散テンソル画像(DTI)や安静時機能的磁気共鳴画像(rsfMRI)から、このマウスの脳内の白質の構造異常や機能的結合(functional connectivity)の変化が明らかになった。そこで本研究では、オリゴデンドロサイト機能異常に起因する自閉症の発症メカニズムの解明と疾患治療への応用を目指す。
われわれはまずCHD8遺伝子の途中にCre依存的に離脱可能なストップ配列を挿入したCHD8変異マウスを作製した。このマウスは通常はストップ配列があるためにCHD8がヘテロ欠損した状態になっており、Cre依存的にストップ配列を除去することでCHD8の発現が回復することを確認した。われわれはこのマウスを用いてオリゴデンドロサイト特異的にCHD8の発現を回復させたマウスを作製して行動解析を行ったところ、全身CHD8変異マウスで観察された行動異常の一部が改善されることが明らかになった。これらの結果から、CHD8変異によるオリゴデンドロサイトの機能異常が自閉症の発症に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CHD8遺伝子の途中にCre依存的に離脱可能なストップ配列を挿入したCHD8変異マウスの作製に成功した。さらにこのマウスを用いてオリゴデンドロサイト特異的にCHD8の発現を回復させたマウスを作製し、全身CHD8変異マウスで観察された行動異常の一部が改善されることを明らかにした。これらの知見は当初の研究目的に適っており、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

遺伝子レスキューマウスにおいてオリゴデンドロサイトの遺伝子発現や機能が改善されているかどうかについての検討を行う。またオリゴデンドロサイトを標的とした薬剤を用いて自閉症の治療実験を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The autism-associated protein CHD8 is required for cerebellar development and motor function2021

    • 著者名/発表者名
      Kawamura Atsuki、Katayama Yuta、Kakegawa Wataru、Ino Daisuke、Nishiyama Masaaki、Yuzaki Michisuke、Nakayama Keiichi I.
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 35 ページ: 108932~108932

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2021.108932

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Identification of neural cell types responsible for autistic-like phenotypes by Chd8 mutation2021

    • 著者名/発表者名
      Atsuki Kawamura, Yuta Katayama, Keiichi I. Nakayama, and Masaaki Nishiyama
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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