心理ストレスが末梢の生理機能を制御する「心身相関」は、経験的に知られているものの、その実態は十分に理解されていない。代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスは、全身に慢性炎症を呈する難病であり、その病態進展に伴い多彩な神経精神症状が生じる。一方、心理ストレスが自己免疫疾患の発症リスク増加や再燃につながることが報告されているが、そのメカニズムやミクログリアの関与は不明である。本研究では、心理ストレスによる末梢自己免疫応答の制御のインターフェースとして、ミクログリアの脂質代謝に着目し、その病態整理的意義の解明を目指すことを目的とした。 これまでに、心理ストレスモデルとして、マウスに社会的敗北ストレスおよび拘束ストレスを負荷し、末梢の免疫細胞、および脳内ミクログリアの動態を解析した。ストレス負荷により、T細胞やB細胞、好中球の数や割合に変化が生じること、特に好中球はいずれのストレスによっても増加する一方、その他の免疫細胞の動態は、ストレスの種類によって異なることが明らかとなった。また、薬剤によるミクログリア除去の検討から、ストレス負荷による全身性エリテマトーデス病態への影響の一部がミクログリア機能を介する可能性を示唆した。
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