研究領域 | グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解 |
研究課題/領域番号 |
21H05639
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
堀内 浩 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 特別訪問研究員 (60760733)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | ミクログリア / アクアポリン / アストロサイト / 神経細胞 |
研究実績の概要 |
睡眠や麻酔下においては、アストロサイト特異的に発現する水チャネルAQP4を介して血管周囲腔から脳実質内に水を流入させ、流動性の強化によって覚醒時に蓄積した老廃物を排出するGlimphatic systemが注目されている。しかしながら、ミクログリアの水の流入に対する応答性やその機能はわかっていない。AQP4欠損においてはアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを取り囲むミクログリアが減少していることから、老廃物が髄液のbulk flowによって排出されるだけでなく、水の流入を介したミクログリアの性質変化による積極的な除去が想定される。そこで本研究では、生体2光子イメージングによってミクログリアの形態や活動を指標とし、薬理的・遺伝化学的なアプローチによって水の流入に対するミクログリアの応答性を調べることで水の吸収や流動に対するミクログリアの機能を明らかにする。今年度は脳実質への水の流入に対してミクログリアが形態的な応答性を示すことを生体イメージングによって明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の通り、当初の計画を遂行することができたため。麻酔と蒸留水による水の流入に対して形態的な応答性を示したが、これはマンニトール投与によって抑制された。このことから、ミクログリアが脳実質への水の流入に対して応答する可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
AQP4の機能を直接的に制御する手法が遺伝子改変技術に限られており、AQP4欠損による発達への影響や長期的な環境変化による影響を除外できない。そこで次年度は、薬理的なAQP4制御によって、脳内への水の流入を特異的に制御することで、ミクログリアの応答性を明らかにする。
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