研究領域 | 不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構 |
研究課題/領域番号 |
21H05652
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大谷 美沙都 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60435633)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | pre-mRNAスプライシング / 葉緑体シグナル / 側根形成 / プラスチド |
研究実績の概要 |
側根形態形成における pre-mRNA スプライシングの役割を解明するため、シロイヌナズナ野生型および葉緑体ヘムシグナル不全変異体genomes uncoupled 1 (gun1) について、光合成阻害剤処理時のトランスクリプトームデータを用いたスプライシング解析を行った。その結果、GUN1機能依存的におこる光合成阻害剤処理特異的なスプライシングイベントを複数見いだした。また、その一部は光合成関連遺伝子で起こっていることもわかり、ヘムシグナルによるpre-mRNAスプライシング制御の可能性が示された。また、葉緑体機能阻害剤として原核型リボソーム機能阻害剤スペクチノマイシンを用いて、スペクチノマイシン処理依存的な側根幅を制御するAP2型転写因子PUCHIの機能欠損変異体puchi-1の側根形態を調べたところ、puchi-1ではスペクチノマイシン依存的な側根幅制御が異常になっていることが確認された。さらに、スペクチノマイシン処理ではオーキシン局在制御異常とPUCHI発現異常が起こることも見いだした。 葉緑体シグナルが核内 pre-mRNA スプライシングに影響する分子的作用機序を明らかにするため、gun1変異体において阻害剤処理時に誘導した側根の形態を調べたところ、側根幅の異常拡大が確認され、GUN1依存的に制御されるヘムが光合成活性と側根幅の制御を繋ぐ重要分子であることが示唆された。以上から、葉緑体シグナル(ヘムシグナル)はPUCHI発現を介して側根形態を制御するという可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの変異体解析を完了し、また光合成活性ースプライシングー側根形態の関係性を実験的に検証することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の解析を通して「光合成活性がスプライシング制御を介して側根の形態を制御する」ための具体的分子メカニズムを明らかにする予定である。 ・スプライシング変異体srd2-1・rid1-1、プラスチド機能低下変異体rfc3-2 およびgun1-1を光合成阻害剤で処理し、地上部・地下部・芽生え全体にわけてRNA-seq解析に供する。 ・gun1-1を野生型、srd2-1、rid1-1、puchi-1と組み合わせた接ぎ木実験を行い、側根形態形成を制御する葉緑体シグナルの分子実体を突き止める。 ・RNAヘリカーゼRID1とヘムの直接相互作用の可能性を検証し、ヘムによるスプライシング制御の分子機序を明らかにする。
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