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2021 年度 実績報告書

リハビリテーションが誘導する障害後の皮質脊髄路可塑性の分子基盤の解明

公募研究

研究領域脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作
研究課題/領域番号 21H05683
研究機関新潟大学

研究代表者

上野 将紀  新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
キーワードリハビリテーション / 脳梗塞 / 皮質脊髄路 / 可塑性 / 再編
研究実績の概要

リハビリテーションは、中枢神経障害後の機能回復の促進に広く用いられ、回路の可塑性と再編がその機序の根幹に存在することが示唆されている。しかし、リハビリテーションがどのように可塑性を高め、回路再編と機能回復を促すのか、その神経・分子基盤の理解は進んでいない。本研究では、運動によるリハビリテーションが、脳障害後に可塑性を誘導し、随意運動を担う皮質脊髄路の再編を引き起こすメカニズムを明らかにすることで、リハビリテーションによる回路再編と機能回復の分子神経基盤を解明することを目的とする。本年度はまず、Rose Bengalを用いた光血栓形成により、大脳皮質に梗塞を起こす脳障害モデルを確立し、残存した皮質脊髄路の回路網における再編様式の挙動を解析した。まず大脳皮質の各領野特異的に梗塞が起こった場合の再編様式を探索したところ、脳梗塞の起こる部位により皮質脊髄路が異なる様式で再編することが明らかとなった。さらに運動を一定時間行わせるリハビリテーションにより、脳梗塞後、皮質脊髄路の再編が促進されるかを解剖学的に解析した。その結果、運動リハビリテーションにより皮質脊髄路の軸索の伸長が増加し、再編が促進されることがわかった。さらに脳梗塞後、再編する回路網において誘導される遺伝子発現の変動を調べた。その結果、梗塞後、経時的に変動する遺伝子発現のデータを取得することができた。得られた成果は、リハビリテーションによる皮質脊髄路の再編機序の理解へつながるものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、運動によるリハビリテーションが、脳障害後に皮質脊髄路の再編を引き起こすメカニズムを解明することを目的としている。本年度は、大脳皮質が領域別に障害されるモデルを確立し、このモデルにおいて皮質脊髄路が異なる様式で再編するとともに、リハビリテーションで再編が促進されることを明らかにすることができた。さらに再編回路内の遺伝子発現のデータを取得することができた。以上のことから、再編メカニズムの解明へ向け研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

前年度に見出したリハビリテーションにより再編がおこる回路が有する接続様式を調べ、またそれらが形成される機序の解明に取り組む。以上の研究から、リハビリテーションが促す皮質脊髄路の再編メカニズムの解明を目指す。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Burke Neurological Institute/Cincinnati Children's Hospital(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Burke Neurological Institute/Cincinnati Children's Hospital
  • [雑誌論文] Lesion area in the cerebral cortex determines the patterns of axon rewiring of motor and sensory corticospinal tracts after stroke.2021

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Nakamura Y, Takeda A, Ueno M.
    • 雑誌名

      Front Neurosci

      巻: 15 ページ: 737034

    • DOI

      10.3389/fnins.2021.737034. eCollection 2021.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Modulation of both intrinsic and extrinsic factors additively promotes rewiring of corticospinal circuits after spinal cord injury.2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y, Ueno M, Niehaus JK, Lang RA, Zheng Y, Yoshida Y.
    • 雑誌名

      J Neurosci

      巻: 41 ページ: 10247-10260

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.2649-20.2021.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Restoring neuro-immune circuitry after brain and spinal cord injuries.2021

    • 著者名/発表者名
      Ueno M
    • 雑誌名

      Int Immunol

      巻: 33 ページ: 311-325

    • DOI

      10.1093/intimm/dxab017.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中枢神経の障害がもたらす免疫系の変容と病態2021

    • 著者名/発表者名
      上野将紀
    • 雑誌名

      生体の化学

      巻: 72 ページ: 409-411

  • [雑誌論文] 中枢神経障害による免疫系の変容2021

    • 著者名/発表者名
      上野将紀
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 277 ページ: 1104-1107

  • [学会発表] Rewiring of corticospinal circuits after CNS injuries.2022

    • 著者名/発表者名
      上野将紀
    • 学会等名
      第11回生理研-霊長研-新潟脳研合同シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] The patterns of axon rewiring of multiple corticospinal tract pathways after stroke in different cortical areas.2021

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Nakamura Y, Ueno M.
    • 学会等名
      Neuroscience 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 中枢神経の障害による神経-免疫連関の変容2021

    • 著者名/発表者名
      上野将紀
    • 学会等名
      第40回日本認知症学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 中枢神経障害におけるグリア動態と神経回路の再建2021

    • 著者名/発表者名
      上野将紀
    • 学会等名
      第94回日本生化学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Poststroke reorganization of the corticospinal circuit2021

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Nakamura Y, Ueno M.
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] 高齢期における脳損傷後の神経回路再編を制御する因子の探索2021

    • 著者名/発表者名
      田中貴士、浦大樹、硎澄仁、新井田要、上野将紀
    • 学会等名
      第19回コ・メディカル形態機能学会学術集会
  • [備考] 脳梗塞の部位により異なる皮質脊髄路の再編様式を解明

    • URL

      https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/result/001597.html

  • [備考] 脊髄損傷において皮質脊髄路の再編をうながす分子標的を解明

    • URL

      https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/result/001626.html

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公開日: 2022-12-28  

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