研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
21H05708
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横井 佐織 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10772048)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | ショートペプチド / lncRNA / メダカ / 行動 |
研究実績の概要 |
これまでのoZwiの発現解析は成魚脳を用いたものしかなかったので、oZwiの発現パターンを稚魚を用いたwhole mount in situ hybridization法により可視化した。ゼブラフィッシュを用いた先行研究の結果と比較するために、ミエリンタンパク質であるmbpa遺伝子のRNAプローブを作製し、発現パターンを比較すると、ほぼ同様のパターンであることがわかった。成魚の脳を用いてmbpaの発現を可視化した結果も、oZwiとほぼ同様であった。したがって、oZwiはゼブラフィッシュと同様にミエリンタンパク質である可能性が高いと考えられた。 タンパク質としての発現解析や、相互作用する因子の解析のため、oZwiAの終止コドン直前にFLAG配列を挿入したノックインメダカをCRISPR/Cas9法を用いて作製し、ラインの確立に成功した。 oZwiAとoZwiBのどちらかまたは両方が行動制御に必要なのかを検証するため、oZwiAに関しては開始コドン直下でフレームシフトが起き、機能欠損が予想されるメダカをCRISPR/Cas9法を用いて作製し、現在ラインの確立に向けて飼育中である。oZwiBに関してはuORFからの翻訳が予想されているため、uORFとoZwiBを含む部分を欠失させたメダカをCRISPR/Cas9法を用いて作製し、現在ラインの確立に向けて飼育中である。ライン確立ののちにはノックアウトホモ個体を作出し、行動実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ssODNとCRISPR/Cas9法を組み合わせたタグノックインはメダカでの論文報告が存在しなかったため難易度が高い実験であったが、今年度中にラインの確立に至ることができた。これにより、oZwiのタンパク質としての機能解析が急速に進むことが期待される。 他の変異体についても変異の導入は確認されており、個体レベルでの機能解析が来年度には可能である。
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今後の研究の推進方策 |
oZwiAの終止コドン直前にFLAG配列をノックインしたメダカを作製したため、RNAではなく、ペプチドの局在を免疫染色により可視化する。また、これまでに行動異常が検出されたメダカはoZwiAとoZwiBの両方を欠失した個体であった。本年度はoZwiAにフレームシフトを導入したメダカや、oZwiBのみを欠失させたメダカの作製が完了予定であるため、これらの変異体において行動異常が検出されるかを検証することで、oZwiA、oZwiBどちらか、またはその両方が行動制御に必要であるのかを明らかにする。 また、RNAseq解析により、oZwi欠失に伴う他の遺伝子発現の変化を解析する。
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