研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
21H05720
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今見 考志 京都大学, 薬学研究科, 特定研究員 (30528344)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
キーワード | プロテオミクス / 翻訳 / リボソーム / 新生鎖 / タンパク質相互作用 / N末端 / 変異 |
研究実績の概要 |
本年度はタンパク質N末端コードを解読するための情報学的解析(Aim 1)と実験(Aim 2)の両方を進めた。まず、Aim 1の情報学的解析からタンパク質N末端から2残基目のアミノ酸には特徴的な傾向があることを見出した。例えば、ヒトでは大腸菌と比べてアラニンの出現頻度が高く、リジンはその逆の傾向を示した。興味深いことに、そのアミノ酸頻度の傾向は進化的な相関を示すことがわかった。この知見は、次年度の実験で得られた結果を検証する際や進化相関性を考察するためのキーになる情報となる。また、Aim2のN末端コードに結合する相互作用タンパク質のスクリーニングに関しては、数百種から構成されるペプチドアレイを発注した。発注期間中には、合成ペプチドを磁気ビーズに結合させた系で実験を進めており、種々のN末端由来のペプチドとそこに結合する既知タンパク質を同定することに成功しており、プルーフオブコンセプトは実証できた。また、N末端コードに結合する因子をバリデーションするための系の開発も進めている。具体的には、架橋剤と質量分析を用いて、新生タンパク質と相互作用するタンパク質を同定する技術を開発している。実際に新生鎖と結合するSRPなどの既知因子を捉えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題が10月に開始され後ペプチドアレイを海外発注し、到着したのが2022年1月となり、十分に実験を進めることができなかった。また申請者の異動も重なり、計画していた実験はやや遅れている。一方、ペプチドアレイではなく、合成ペプチドを磁気ビーズに結合させた系での実験は進めており、少なくとも本研究計画を実施・支持できる予備的な結果を得ることができている。次年度はペプチドアレイを用いた実験を本格始動させ、N末端コードとその質相互作用タンパク質のデータをハイスループットに取得していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度に行うべき実験材料は揃ったので、多様な生物種由来の細胞ライセートとペプチドアレイを組み合わせたプロテオミクス実験を遂行する。同時に、得られた結果の情報学的解析も領域内共同研究を積極的に活用し、進めていく予定である。
|