今後の研究の推進方策 |
上記研究計画1を完了し、研究計画2を進める予定である。その後、以下の研究を計画している。 研究計画3: 人為的な高次ゲノム構造形成がXist /Tsix発現へ与える影響。樹立したメスマウスES細胞は異なる系統のマウスをかけ合わせて得られたハイブリッドマウスES細胞に由来する。そのため、それぞれの染色体には系統特異的な多型が含まれている。dCas9はPAM配列(dCas9のDNA結合に必要な特定の配列)近傍の認識配列(シード領域)に1塩基ミスマッチがあることで、結合しにくくなることがわかっている(Jones et al., Nat Biotechnol, 2020)。そこで、CRIPSR-GOシステム(Wang et al., Cell, 2018)を利用して、TetRおよびdCas9をアブシジン酸依存的に結合させるタンパク質を融合し、特定系統由来のX染色体上のLinx領域に対応するsgRNAを発現させることで、アレル特異的に高次ゲノム構造を制御する。これにより、先立つ高次ゲノム構造形成がXist/Tsix発現へ与える影響を明らかにする。
研究計画4: 人為的なXist /Tsix転写制御が高次ゲノム構造へ与える影響。本研究計画では、分化誘導過程でCRISPRiシステム(Alerasool et al., Nat Methods, 2020)を利用してXistまたはTsixの転写を抑制することにより、Linx-Tsix間距離への影響を調べる。研究計画3と合わせることで、転写と高次ゲノム構造形成のいずれが先立つのか、解明する。
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