研究領域 | DNAの物性から理解するゲノムモダリティ |
研究課題/領域番号 |
21H05756
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
古川 亜矢子 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (90453050)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | ヌクレオソーム / 溶液NMR / ヒストンテイル |
研究実績の概要 |
クロマチン構造の基本単位であるヌクレオソームのコア構造から突き出ているヒストンのテイル構造は天然変性領域で非常に動的であるため、X線結晶構造や電顕構造では見えていない。しかしながら、このヒストンテイルには多数の翻訳後修飾が入ることによって、クロマチンの構造や機能を変化させるため、非常に重要な領域である。また、ヌクレオソーム間をつなぐリンカーDNAもリンカーヒストンH1が結合した状態でないとX線や電顕の構造では観測できないため、非常に動的である。しかしながら、ヒストンテイルは、ランダムにふらふらしてヌクレオソームの外側に露出しているのではなく、リンカーDNAやヌクレオソームDNAにある程度動きを制限されて機能している。 本研究では溶液NMR法を用いて、ヒストンH3のN末テイルの動的挙動を解析した。その結果、ヌクレオソームのリンカーDNAがヒストンH3のN末テイルと非常に弱く相互作用していて、そのDNAとの相互作用は残基によって異なることが明らかになった。リンカーDNAが無いヌクレオソームコア構造(NCP)では、ヒストンH3のN末テイルはコアDNAと相互作用する頻度が高くなり、アセチル化酵素Gcn5によるH3の14番目のリジンのアセチル化反応が阻害された。さらに、H4のN末テイルにアセチル化が入っても、H3のN末テイルの動的構造は変化せず、アセチル化酵素Gcn5によるH3の14番目のリジンのアセチル化反応も変化しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文も報告でき、問題なく進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ヌクレオソームにリンカーヒストンH1を添加した際のヒストンH3のN末テイルの動的構造変化を明らかにし、ヘテロクロマチン状態であるH1結合ヌクレオソーム中のヒストンH3とDNA間の動的な相互作用変化を解析する。これにより、クロマチンの構造変換機構におけるDNAを介したヒストンテイルの動的な相互作用の重要性を解明する。
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