研究領域 | 素材によって変わる、『体』の建築工法 |
研究課題/領域番号 |
21H05778
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安井 隆雄 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00630584)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | ワイヤ構造体 / 細胞挙動 / 線・面・空間 |
研究実績の概要 |
生体が体を構築するとき、細胞集合体の挙動だけではなく、サポート素材となる材料の化学的・物理的性質の理解が必要不可欠である。本研究課題では、生体の形態形成の原理について、材料による「マクロな形」と細胞の集合体による「細胞挙動」の関係を解明すべく、材料工学のアプローチにより「マクロな形」を材料の材質・大きさによって定義し、生物学のアプローチにより「細胞挙動」を細胞の形成解析によって達成する。本研究課題では、生体の形態形成の原理について、ミリ・マイクロ・ナノスケールの材料による「マクロな形」と細胞の集合体による「細胞挙動」の関係を明らかにすべく、工学的なアプローチにより「マクロな形」を素材と大きさによって定義し、細胞集合体の挙動解析を推進することを目標とした。申請者独自のナノ空間骨格の作製技術を、マイクロ/ミリスケールへスケールアップし、ナノ/マイクロ/ミリスケールのワイヤ構造体で「線・面・空間」を生み出す非細胞素材の加工を達成し、班員と共同で、生物の幼弱個体の体の形成成長時における加工する非細胞素材の影響解析が最終目標でもある。例えば、カイメン動物の幼弱個体が体の形成成長時には、幼弱個体中の細胞が大工のように、長さ約150-250 um・直径約4-7 umほどの両端が尖った針状の構造物である骨片の細胞内産生と細胞外排出(製造)を行い、別の細胞集団(transport cells)が運搬し、上皮細胞によるシートを上手く使うことで一端を配置し、下端を固定して骨片を体内で柱の様に建て、その先に別の骨片を運搬すると柱を接合する(梁を作る)、という作業工程を行うことが知られている。本研究期間では、(1)生体の細胞が生体物質をどのように認識するのか、(2)擬似生体物質の形状が生体形成に影響があるのか、に着目した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、生体の形態形成の原理について、ミリ・マイクロ・ナノスケールの材料による「マクロな形」と細胞の集合体による「細胞挙動」の関係を明らかにすべく、工学的なアプローチにより「マクロな形」を素材と大きさによって定義し、細胞集合体の挙動解析を推進している。本研究課題においては、家の構築と同じ構成で、生体の形態形成の原理への追求が可能である。これらのパラダイムは非常に類似しているため、工業製品の構築デザイン技術への生体への応用や、生体の構築デザイン技術の工業製品への応用は双方向となることが期待される。これまでに、ナノスケールのワイヤ材料の「材質」「配置」「次元数」を自在に駆使し、様々なデバイスへ応用してきた知見を駆使し、ミリ・マイクロスケールのワイヤ構造体作製に成功している。これらの研究成果より、おおむね順調に進展していると自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、申請者独自のナノ空間骨格の作製技術を、マイクロ/ミリスケールへスケールアップし、ナノ/マイクロ/ミリスケールのワイヤ構造体で「線・面・空間」を生み出す非細胞素材の加工を達成し、班員と共同で、生物の幼弱個体の体の形成成長時における加工する非細胞素材の影響解析が最終目標でもある。本研究期間では、(1)生体の細胞が生体物質をどのように認識するのか、(2)擬似生体物質の形状が生体形成に影響があるのか、に着目した。次年度は本年度に引き続き「(1)生体の細胞が生体物質をどのように認識するのか」に取り組み、同時に「(2)擬似生体物質の形状が生体形成に影響があるのか」についても取り組む。「(2)擬似生体物質の形状が生体形成に影響があるのか」は、細胞の運搬機序に関わる重要な問題と考える。例えば、カイメン動物内の物質の製造、運搬・配置、建て・接合という作業工程においては、製造時に長さ約150-250 um・直径約4-7 umほどの両端が尖った針状の構造物である骨片がカイメン動物によって想定されている。(1)の共同研究によって、細胞により運搬される擬似骨片をワイヤ構造体で作製することに成功した場合、申請者の独自の技術によって、先端を針のような形状から球体のような形状への変化や、十字型の人工骨片を作製する。これらカイメン動物では生成されない形状の骨片をカイメン体内に移植し、transport cellsの運搬・配置様式を詳細に解析する。
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